わが社の「モテすぎる女子社員」どう扱えばよいのか

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   職場に気になる異性がいる人は、仕事のやる気も高いというアンケート結果がある。しかし、気になって意識がそちらにいきすぎると、いろいろと混乱も起きるようだ。ある会社では、新人女性が「モテすぎる」ので支店長が困惑しているという。

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取引先にも大人気。飲み会にも呼ばれて

――専門商社の人事です。先日、ある支店の支店長が本社に出張した折、今年入社した新人について話をしにきました。
   営業アシスタントのA子さんが、支店の内外で「モテすぎる」というのです。
   最初に名乗りをあげたのは若手のB君で、何度か一緒に食事に誘い、交際も申し込んだのだそうです。「いま僕がアプローチしていますので、他の人は手を出さないで下さい」と公言しています。
   ベテランのCさんもA子さんがお気に入りで、何かというと客先に連れて行きます。周囲からは「本当に仕事で連れて行くのかな」と疑われている始末。
   その客先でもA子さんは大人気で、取引先の飲み会などに頻繁に呼ばれているようです。
   また、A子さんが入社してからは、B君とCさんはお互いをライバル視しているのか、つっけんどんなやり取りが目立つようになったとか。
   そんな状況を見ている同僚女性たちも落ち着きません。「うちの男性たちは明らかに浮ついている。彼女は別な職場に異動させてくださいよ」と言う人まで現れています。
   A子さん本人は、物静かで笑顔を絶やさない女性ではありますが、男性たちをかまって振り回すような人ではないと思います。
   支店長は、「本社の総務あたりで引き取ってもらえない?」と冗談交じりの調子で話しかけてきますが、こういうことは笑い話で放っておいていいものでしょうか――

臨床心理士・尾崎健一の視点
活気を弱めないようにしながら必要な手を打つ

   みんないい歳をした社会人なので、基本的には干渉しなくてよいのでしょうが、支店長は職場の潜在的なリスクには注視しておく必要があります。「仕事に支障がないか」「セクハラに発展するおそれはないか」という2つの視点は欠かせません。

   前者については、B君やCさんの仕事がおろそかになっていないか、Aさんの仕事の妨げになっていないか、他の女性たちの能率が下がっていないかという点を見ます。そして、例えばCさんが必要もなくAさんを連れまわしているようなら、きちんと注意すべきです。

   一方、「A子さんにイイところを見せたい」と頑張る人もいるかもしれません。男性ばかり集めた部署では息が詰まるのも事実。性別や年齢などが違う人たちが、職場でそれぞれの個性を発揮できる状態は望ましいと思います。Aさんを排除して問題を解決するのではなく、人を注意深く観察し、活気を弱めないようにしながら必要な手を打つようにするとよいと思います。

社会保険労務士・野崎大輔の視点
セクハラリスクを考慮し業務時間外でも干渉する

   「社内恋愛禁止」を掲げる会社もあるようですが、人と人の関係を会社がどうこうできるはずもありません。ただし、セクハラのリスクは会社にとって大きな脅威ですので、今回の件がそうした問題に発展しないよう注意する必要はあると思います。

   新人のA子さんにとっては、先輩のB君の言動にも強制力が発生しますし、取引先の言動にも「これを断ったら会社に迷惑がかかる」というプレッシャーがかかります。A子さんに事情を聞き、不快に思っているようであれば、B君に「業務時間外で会わないように」と言ったり、Cさんに「お客さんの飲み会の誘いは断ってくれ」と言ったりすることは、仕事以外の交際であっても干渉できるのではないかと思います。

   また、注意しなければならないのは、同僚の女性からのいじめを受けるおそれがあることです。当面は「社会人1年生」のA子さんを守る方向で、支社長の責任を果たしてもらうようにお願いしてはどうでしょうか。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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