計画停電で問われる「職場の風土」「上司の能力」

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   震災の影響による電力不足について、枝野官房長官は2011年3月25日に開かれた政府会合の席で、「産業部門のあり方や国民の生活様式にまで踏み込んだ、抜本的な対策が必要」と強調した。

   個々のビジネスパーソンにも、節電を図りつつ生産性を上げるワークスタイルの確立が求められるが、実現にはさまざまな課題がありそうだ。

「思い込み」が在宅勤務を妨げている

仕事をするのにオフィスはいらない?
仕事をするのにオフィスはいらない?

   計画停電による鉄道運休を受けて、「テレワーク」に注目が集まっている。IT技術などを活用して会社以外の場所で仕事をする方法だ。

   クラウドサービスやデジタル端末の活用で、いつでもどこでも同じ環境で仕事をすることが技術的に可能となったが、それ以外の側面で運用が阻まれているという声もある。

   通勤ルート変更を余儀なくされ、神奈川県から都心のオフィスへの通勤時間が1.5倍以上に増えた30代の男性は、こう打ち明ける。

「自宅勤務にしてほしいと、本当は誰もが望んでいる。企画職の仕事から見ても問題ない。でも、いまの会社のしくみや風土が、それを許容しないんです」

   オフィスに出社することが「忠誠の証」のようになり、「大変なのは自分だけでない」という思いから、こういうときこそどうしても出社しなければならない雰囲気になっている。

「自分の責任範囲が明確で、仕事の進捗に問題がなければ、出社は数日置きにしたって問題ないはず。でも、長年続けてきた『毎日出社しなければならない』という思い込みは、すぐには抜け切れない。有給休暇が取りにくいのと根は同じ」

   疲労が溜まり、自宅勤務を申し出ようと思いつつも、出勤管理や業績評価がどうなるのか不安で、自分ひとりでは踏み切れそうにもないという。

放言するだけの管理職に居場所はない

   ある中堅商社では、数日間の自宅勤務をテストした。40代の業務部長は、「夏に向けて自宅勤務が本格化したら、管理職の出来不出来がバレちゃうだろうな」とため息をつく。

「仕事で何をどうするかは、正直いって現場任せだった。それがスピードや柔軟な対応につながっていた面もある。でも自宅勤務になれば、現場に丸投げの管理職なら不要だと明らかになってしまう。社内失業者も浮き彫りになるだろう」

   オフィスで一堂に会することのない部下たちの業務を、滞りなく回していくためには、管理職が部下の状況を把握し、的確に指示を出す必要がある。上司の負担は格段に重くなる。

   ネット上の掲示板やテレビ会議で部員相互のコミュニケーションを取る際にも、議論を仕切ったり有用な発言ができなければ、存在感は薄くなる。ブラリと顔を出し、適当に放言して帰るだけの上司の居場所はない。

   業績評価も、指示に対してどれだけの仕事を返したかが目に見えるようになり、あいまいで恣意的な「人物評価」ができなくなってしまう。

「出社困難な部下が入れば、本来は管理職が『君は週1出社でいい』と言わなきゃならない。でも、いまはよく考えずに『とにかく出社しろ』と言っている。自分も含め、遠隔地のマネジメントのやり方が分からないんだろう」

   どんなデジタルツールを採用するか、今後検討が行われるはずだが、職場の風土や上司の仕切りなどの「ソフト面」で問題が残っていると、部下が不満を溜めたり仕事が停滞したりすることもありそうだ。

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