中学生かよッ! 「職場にケータイ持ち込み禁止です」

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   携帯電話は、常に身につけていてこそ使えるもの。急ぎの連絡手段として欠かせないだけでなく、ニュースなど最新の情報を知ったり、ちょっとした暇つぶしをするのにも便利だ。

   しかし、高機能化が進み、企業機密の窃取に使われるおそれも。ある会社では、職場への携帯電話の持ち込み禁止を通達したが、現場から反発の声があがり、対応を考えているという。

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「家族からの緊急電話はどうする!」

――製造業で、地方工場の総務を担当しています。先日、本社から各工場に「職場への携帯電話の持込禁止について」という通達が来ました。
   営業など顧客との連絡を頻繁にとる部門以外は、職場への携帯電話の持ち込みを禁止することにし、手始めに工場から実施する予定だということです。
   開始時期は数ヵ月後ですが、作業場の外にロッカーを設け、他の私物とともに携帯電話を置いて入場することを徹底します。
   そこで作業リーダーを集めて、通達の内容を説明したところ、思いがけず不満が続出。

「家族から緊急電話が掛かってきたら、どうするんですか!」
「休み時間にケータイゲームができなくなるじゃん…」
「レンズにシールを貼ることで勘弁してもらえませんか?」
など、とても受け入れられないといった様子です。「中学生じゃないんだから、そこまでやらなくたって、ちゃんと仕事しますよ」とまで言われ、ちょっとひるんでしまいました。
   もし本社で正式決定したとしても、これでは徹底に苦労するんじゃないかという気がします。従業員たちのモチベーションも下げたくないし、こういうルールの押し付けはやめたほうがいいのではと思うのですが――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
会社のリスクを考えたら当然の対応

   携帯電話は、日常生活に欠かせないものです。しかし、就業時間中は業務に専念してもらう必要がありますし、工場であれば作業現場や新製品の写真が流出し、国内外の競合他社の手に渡ることも考えられます。製品の中に異物を落とすリスクもあります。持ち込み禁止の規定は不当ではなく、すでに適用している職場も珍しくありません。会社は後々「想定外だった」と悔やまないように、リスク洗い出しと準備をしておくことが必要です。リスクについて、リーダーたちもある程度理解しているはずです。

   あわせて、就業規則に守秘義務の規定を設けているか、確認しておきましょう。重大な情報流出があった場合には、懲戒解雇や損害賠償請求がありうると明記しておきます。守秘義務について、覚書をあらためて交わすことも流出抑制につながります。今回の通達を、職場のコンプライアンスについて従業員と話し合うきっかけにしてみては。

臨床心理士・尾崎健一の視点
ケータイのない不便さを取り除く対策を

   現場を知るリーダーたちがリスクを理解しているのに、反発が強まっているのは「ケータイのない不便さ」への配慮が足りないからでしょう。トラブルを避けるために、要望を聞いて代替策を準備し、不満の軽減を図ってみてはどうでしょうか。

   緊急時の連絡先として、従業員の家族に作業場内の固定電話の番号を知らせておき、そこに掛けてもらうようにすることが考えられます。地震などの災害時などには作業をストップし、すぐに携帯電話を取り出すことを許可すれば不安も少なくなります。私用電話をするためにロッカーまで取りにいくのが面倒であれば、作業場内に公衆電話を設けたり、会社の固定電話を使用可能とするなどの便宜を図ってもいいかもしれません。暇つぶし対策としては、テレビを見られるようにしたり、共用の新聞や雑誌を充実させることなども考えられます。社員間のコミュニケーションが増えて仕事が回りやすくなるなど、副次的効果もあるかもしれません。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
野崎大輔・尾崎健一:黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術
野崎大輔・尾崎健一:黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術
  • 発売元: 小学館集英社プロダクション
  • 価格: ¥ 1,365
  • 発売日: 2011/06/30
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