「仮面弱者」が増えている 働かないのに権利は主張

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   本当に困っているわけではないのに社会的弱者を自任し、労働者の権利を声高に主張しながら一生懸命に働こうとしない――。ビジネスアナリストの中川美紀氏は、こういう「仮面弱者」がここ数年増えていると指摘する。

   このような勢力が大きくなることで、社会全体の勤労モラルが低下し、真面目に働いて「本当の弱者」を支える人も報われなくなるというのだ。

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働きたい人の権利が奪われるのはおかしい

中川美紀著『「ワーク=ライフ」の時代 仕事が好きになれる働き方』
中川美紀著『「ワーク=ライフ」の時代 仕事が好きになれる働き方』

――仕事柄、私はたくさんの働く人の話を聞きます。そこで聞かれる生の声は、決して残業がなくなって喜ぶ声ばかりではありませんでした。

   仕事の時間を減らして私生活を充実させたいと訴える人や、気兼ねなく定時に退社できて嬉しいという人がいる一方で、もっと働きたい、もっと仕事で活躍したいと訴える人が、これほどまでにたくさんいるのかという驚くべき現実があったのです。

   「ワークライフバランス論にしばられて、思うようにバリバリ仕事ができない」という戸惑いの声、「残業や土日出勤は、会社に禁止されているから、こそこそ隠れて仕事しなくてはいけない」という不満の声、そして「このままの緩い仕事では、人材として競争力を失ってしまう」という焦りの声など…。

   「仕事人間と思われようがモーレツ社員といわれようが結構。誰が何と言おうと、自分は全力で仕事しているときが一番幸せだし楽しい。価値観を強制しないでほしい」と闘う姿勢をみせる人もいました。

   そもそも、ワークライフバランスの原点となるダイバーシティは、本来、多様な価値観を認め、個人が働き方をそれぞれに選択できる柔軟な社会の実現を目指すものです。…にもかかわらず、今日、仮面弱者によってワークライフバランス論が過剰に喧伝され、その流れに乗って働かない人たちが主流化することによって、たくさん働きたい意欲のある人の頑張る自由と権利が奪われてしまうのは、明らかにおかしいことだと考えます。

   これはまるでゆとり教育の時の状況を彷彿とさせるようなイメージです。今、受験を控えた子どもに「学校の授業が終わったら、一切勉強してはいけない」という規則があったらどうでしょう。…すでにゆとり教育は崩れ去り、ピリオドが打たれました。しかし今、このゆとり教育と同じことが、まさに働く現場で起きているのです――

(中川美紀著『「ワーク=ライフ」の時代 仕事が好きになれる働き方』ベスト新書、52~53頁)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)

中川氏によれば、仮面弱者は「働かないことを決めて揺らがずに生きている」のではなく、本音では「できることなら充実感をもって働きたい」「会社にお荷物と思われずに活躍したい」と考えているそうだ。しかし現実には、頑張るきっかけがつかめないまま自分をごまかし、正当化のために「労働者の権利」を主張しラクな方向に流れている。本書ではこれを打破するために「ワーク」と「ライフ」をイコールで結ぶ考え方を提唱している。時流に反しているようにも見えるし、批判されていると不快に思う人もいるだろうが、異論にも耳を傾ける価値はある。

中川美紀:『ワーク=ライフ』の時代 (ベスト新書)
中川美紀:『ワーク=ライフ』の時代 (ベスト新書)
  • 発売元: ベストセラーズ
  • 価格: ¥ 780
  • 発売日: 2011/03/09
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