次世代のリーダーは「お笑いタレント」でもいいと思う理由

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   世間では、大事件がない安定期には強いリーダーを求めないものです。うまくいっているときに改革など何かと新しいことに挑戦する人は敬遠されて、人選も保守的になります。そういう時期が続くと、「リーダーなんて誰がやっても同じ」という発想がしみついてしまいます。

   日本の政治家や大企業のトップは、この「誰でも同じ」の発想から、無難な人物が選ばれてきました。結果、温和で自己主張の強すぎないキャラクターの持ち主ばかり。現在の政財界を代表するお歴々を見ても、当てはまる人が少なくないのではないでしょうか。

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危機で馬脚あらわした「現場任せの人格者」

   実際に、大銀行のトップや、大臣クラスの国会議員とお目にかかると、「自分が先導して事態を切り開いてやる!」という情熱や思いを感じることはあまり多くありません。

   「現場に任せてますから」と達観したような発言を耳にすることもしばしばで、「日本のリーダーには、当事者としての推進力は不要なのだろうか」とさえ感じます。

   こうした「誰でも同じ」で選ばれたリーダーは、得てして「何事も決めない」「意思決定が遅れる」という傾向があります。決断の時期が迫っていても、「周囲の意見を聞いてじっくり決めたい」と慎重な態度に終始しがちです。

   リーダーがそんな頼りないことでどうするのか――と思いきや、現場にはむしろそういう人の方が都合がよく、ありがたかったりするので厄介です。結果として、リーダーは棚に上げられ、何事も「現場主導」で物事が進められていったりします。

   大企業でいえば無難さを追求する経営者と自主性の高い現場、政治の世界ならダメな大臣と巧みに懐柔する官僚との関係、といったところでしょう。

   ところが、平和ばかりが続くとは限りません。今回のように、震災や原発事故、それに伴う経済的な悪影響が進むにつれて、事態は一変します。温和が取り柄のリーダーが、

「ぜひとも、早期のご決断を!」

と、苦手な自己主張を求められることになります。

   こうなると困って「あわあわ…」と戸惑いながら、慣れない説明の場面に引っ張り出されて、とんちんかんな発言や行動に出て、周囲は大混乱します。

   首相や東電の社長だけでなく、世間の企業でも震災後の対処で頼りにならなかったリーダーはたくさんいたと聞きます。職場を放棄して逃亡、危機対応で的確な指示ができずに泣き出した社長など、「困ったリーダー」の話は枚挙にいとまがありません。

期待される「アドリブのできる人材」

   安定期と緊急時では、リーダーに課せられる役割はこれだけ違います。とはいえ、いままでのような安定期は、もう戻ってこないと考えてよいでしょう。

   他社より早く危機感を抱いて方向転換を促し、実際の危機が訪れたときに、その波を十分乗りきれるような準備をしていること。これこそがリーダーの役割であると、あらためて認識されたのではないでしょうか。

   最悪のシナリオを想定して準備を怠らないこと。安定期と危機における役割の切り替えができること。そんなリーダーの選出が強く求められます。では、誰が適任なのか?おそらく「アドリブのできる人材」ではないでしょうか。

   そういえば、ある人気お笑いタレントにお会いしたとき、成功のための努力を聞いて驚いたことがありました。

「私はいつも、想定外の状況に置かれたときの対処法を考えています。例えば、タクシーに乗っている最中に、財布を忘れてきたことに気づいたとする。しかし取りに戻る時間はない。運転手は自分のことを知らない。名刺も忘れてきた。そんなとき、どうやって自分らしく笑いを取って、その場を乗り切ろうか――。そんなことばかり考えています」

   この方は、危機に遭遇しても対処に戸惑うことはないだろうと確信しました。様々な状況をシミュレーションしている人こそ、次世代のリーダー像かもしれません。できればそんな人物に、日本の重要なリーダーの役割を任せたいものです。

高城幸司

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*2011年6月、『図解 チームをもつ前に読む!リーダーシップが驚くほど身につく本』が学習研究社より発行されました。

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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