企業による「外国人の新卒採用」が進みそうだ。インテリジェンスの「HITO総合研究所」が全国351社を調査したところ、外国人の新卒採用を積極的に推進または検討している企業は33.9%となった。
「積極的に推進または検討中」と答えた企業の割合は、規模が大きくなるほど高く、従業員5000人以上の企業では78.6%を占める。
「日本人だけでする仕事」は急減か
中小企業も、決して消極的ではない。これまで外国人の採用実績がなかったが、直近で採用を予定または検討している会社は、従業員100人未満の会社でも21.8%。日本人ばかりの職場に、新卒外国人が初めて入社する会社が、これから増えることになる。
とはいえ、外国人が働きやすい条件が整っているとはいえない。外国人の採用に前向きな企業でも、「日本語の語学力は必須」と答えた企業が91.9%。「入社時期は日本人の新卒採用学生と同じ」企業は、従業員1000~5000人規模の69.4%にものぼっている。
現時点では、外国人であっても従来の日本人新卒と同じような扱いをするということだろう。会社全体を「グローバル企業」に転換するには至らず、当面は「海外市場に進出する日本企業」という姿勢を維持する企業が多いと思われる。
外国人の採用については、就活生や一般の働く人から見れば競争相手が増えることになり、あまり歓迎する声は聞かれないが、高収入を得ている人はより積極的に進めるべきと考えているようだ。
年収1000万円以上の求人情報を掲載する「ビズリーチ」の会員アンケートでは、日本企業は新卒採用で「外国人採用を推進すべき」と答えた人が88%を占めた。
回答者のうち「外国人と仕事をすることはない」という人は13%にすぎず、「職場に外国人がいる」「職場にはいないが、外国人と仕事をすることがある」と答えた人は合わせて87%にのぼったという。
この夏以降の電力不足を懸念して、生産拠点を海外に移転する検討を行う企業が増えているという話も聞く。雇用不安とともに「日本人だけで仕事をする」という選択肢は、今後急速に減っていくのかもしれない。