「これ1台でテレビもネットも写真も」 それなら被災地に配ればいいのに

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   仕事柄、東京に限らずタクシーに乗ることが多くあります。先日も、ある地方都市でタクシーに乗車したのですが、道中、運転手さんとスマートフォンの話になりました。

「この間、地元企業の引退した社長さんに呼ばれて迎えに行ったら、駅前の電気店に行けって言うの。何を買いに行くんですか、って聞いたら『スマートフォン』って」

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店員の説明より触って分かった元社長

   元社長氏は、すでに70代半ば過ぎ。いまでもゴルフやら会合やらがあり、連絡もさることながら、場所を調べたりスケジュールを管理したりするのに、ケータイよりスマートフォンの方が便利そうだと考えたのだとか。

「電気店には1時間ぐらい居たかなあ。電話会社の名前がプリントされた紙袋を持って、ムスッとして出てきてね。どうかしたんですか、って訊ねたら、街の真ん中にある某ベンダーへ行けって言うんですよ」

   電気店で商品を買って、また同じベンダーにハシゴするとは、なんでまた屋上屋を架すようなことをするのかと、運転手さんはちょっと不思議に思いました。

「店員さんが張りついていろいろ見比べて、新しい通信契約までしたのに、機器の操作をちゃん説明してくれないと言うんです。『カタカナが多くて、なんのことやらさっぱりわからん』って。最初から教えてくれといったら、面倒くさそうにマニュアルのここに、こういうことが書いてあると言われたと、もうカンカン。
不慣れな若い店員だったんじゃないですかって諌めたら、『ワシが現役の社長だったら、上司を呼んで、オマエの会社では店員にどういう教育してるんだ!って、怒鳴りつけてるところだ』だって。で、詳しいことはベンダーのショップで訊くことにして、とりあえず買ってきた、と」

   ショップでは1時間半ほど、タップリ待たされて元社長氏が戻ってきました。どうやら納得がいった様子です。

「これでよく分かった、さすが世界展開している企業は違う、ってご満悦でした(笑)。でも、店員の説明の良し悪しよりも、とりあえず自分で機器を触ってみたら感覚的に分かったということのようですけど。お年寄りにはありがちな話ですかね。まだ小さな孫の画像を持ち歩くことができるとか、これ1台でテレビもラジオも視聴できるとか、あれこれご機嫌な自慢みたいになってましたよ」

   1台でいろいろできる、お年寄りでも使っているうちに分かる――。そこで運転手さんは閃きました。震災に遭った東北の人たちに、政府がスマートフォンを配ればいいのに、と言うのです。

「10兆単位の復興予算から見れば安いもの」

「被災地には高齢者も多く、最近までテレビも視れなかったって言うじゃない。もう少し遅いかもしれないけど、政府がスマートフォンを早々に買い上げて配っちゃえばよかったのに。1台5万円として、避難してる人が12万人ぐらい。そのうち半分が希望したとしても30億円かな?4人家族で1台って割り当てを決めたとしたら15億円か。この状況じゃ、大した金額でもないじゃない。屋台に置いてあるような発電機で、好きな時に充電できるようにしておいてさ」

   そうしておいて、各々がアプリをダウンロードすれば、テレビやラジオが視聴できるし、他のニュースもネット経由で読むことができる、と。

   復興予算をざっくり10兆円、20兆円と考えているくらいなら、通信費用を1年間肩代わりしたとしても、数十億円なんて微々たるものじゃない、と運転手さん。

   実現には基地局の設置など、端末以外にもクリアしなければならないハードルもあり、簡単ではないとは思いますが、アイデアとしては悪くない。

   何より、情報を欲しがっている現地の事情、ちゃんと教えれば高齢者でも子どもでも使いこなすのはそんなに難しくないというスマートフォンの特性を盛り込んだ支援策は、なかなかなのではないか、と。

   ボトルネックは、個人や社会に対するITツールの影響力に、政治家の関心が向いていないということでしょうか。いまだゴチャゴチャとまとまりのない政府・与党ですが、これからでも遅くないので、人々のニーズに合った対策を素早くやってもらいたいものです。

井上トシユキ

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