いまどきのリーダーは「地味な人」ほど向いている

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   「リーダーシップが足りない」――。政界でも経済界でも、そんな声があとを絶ちません。イメージとしては新しいビジョンを掲げ、先頭に立ってみんなをグイグイ引っ張る人の姿。大勢の前に立ち、大きな身振り手振りをしながら、弁の立つ華やかな人を思い浮かべがちです。

   しかし実際には、言うことは大きく勢いはあるけれど、その場のノリで話すような「派手なタイプ」の人は、意外にもリーダーには向かないものです。

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なでしこ佐々木監督は先頭に立たない

   以前はよく、「リーダーは大きなことを言って、メンバーに夢を見せないとダメ」と言われましたが、それは世の中がずっと右肩あがりだった一世代前の話。実現性の低い目標を掲げるだけでは、いまどき誰もついてこないでしょう。

   そもそもリーダーにとって何より大事なことは、メッセージが具体的で、言動にブレがないことです。リーダーを任された人は、

「自分は強いメッセージを持っているわけでもないし、人を引っ張っていくのも苦手」

と弱気になる必要はありません。

   最近の若い人たちに「リーダーになりたくない」という人が多いそうですが、ある意味もっともなことだと思います。それは周囲が抱くリーダー像が古すぎるし、そんな役割を果たせる環境もないと思っているのではないでしょうか。

   大事なことは自分から発信するより、メンバーから聞かれたことにちゃんと答えられること。そのために、話しかけやすい雰囲気を作ることです。

   女子サッカーW杯で優勝した「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督も、「自分が目立とう」というよりも、周囲のメンバーをいかに引き立てるか、サポートするかと考えているようです。

   その著書には「横から目線」という言葉が使われていますが、まさに、自分が先頭に立ってペースを上げて周囲を引っ張るのではなく、伴走ランナーのように一緒に横並びで行動する姿勢が感じられます。

   2010年にプロ野球日本一となったロッテの西村徳文監督や、チームを再建し現在セ・リーグ首位を走るヤクルトの小川淳司監督なども、昔のリーダーのイメージとはだいぶ違うのではないでしょうか。

業績好調の社長も「地味な人」だった

   一昔前なら「いいからついてこい!」と言い切ったかもしれませんが、時代は変わりました。出しゃばることなくメンバーを立てられる存在。一緒に頑張ろうと声をかける一体感。自分のペースを落としてでも「伴走する」「鼓舞する」ことができるリーダーが求められています。

   先日取材したネットベンチャーで急成長中のD社の社長も、社長室に通されて席から立ち上がった瞬間から「地味な人オーラ」が出まくっていました。

   それでも不況に負けずに、業績は好調。社員からの信頼も厚い。「好調の秘訣は何ですか?」と訊ねても、「社員の頑張りですよ」くらいしかコメントが出てこない。

   一昔前のイケイケ社長なら「俺のカリスマ性でしょ?」くらいの自信過剰なコメントをいただけたものです。この社長だけでなく業績好調な企業のリーダーにお会いするたび、地味な人が多くて驚きます。やはり時代が変わったのでしょう。

   アンケートでは、イチローや北野武、島耕作などの名前が「理想のリーダー像」の上位に挙がります。もしも彼らが活躍できるような土壌があり、華やかに活躍できるのであれば、それも小気味いいでしょう。

   しかし、混迷する現実の問題を解決するには、地道で粘り強い取り組みが必要です。社会が求めるリーダー像も、今後おのずと変わっていくのではないでしょうか。

高城幸司

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*2011年6月、『図解 チームをもつ前に読む!リーダーシップが驚くほど身につく本』が学習研究社より発行されました。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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