「この仕事、私に向いていない」と思ってもやってみる

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   最近、せっかく就職したのに「自分に向いている仕事は他にあるはず」と数年で辞めてしまう人が増えているそうです。

   日本はまだまだ豊かな社会ですし、自分の可能性を若いうちに模索するのは悪いことではないと思いますが、「この仕事、私に向いているのだろうか」と思っても、辞めずにやりつづけてみると、その過程でいろいろな可能性が見えてくることもあるものです。

前向きな人には、周囲も協力の手を差し伸べる

   若者が自分の仕事に悩みを持つ背景のひとつに、新卒の就職難があるかもしれません。漠然と望んでいた会社に入れずに、

「あの会社に入れていたら、こんな不満は抱かなかったはずだ」
「もし景気が少しよかったら、あのくらいの会社に入れていた」
「自分には本当に運がない、他人が恨めしい」

と思ってしまうのでしょう。しかし、大きな会社に入れたからといって、自分に向いている仕事に出会えるとは限りませんし、むしろ自分の意思より会社の都合が優先されてしまうことが多くなるでしょう。

   それよりも、この仕事は自分に向いていないと自分で決めつけず、任された仕事を「とりあえず前向きにやってみる」ことで、意外な方向に活路が開けることはよくあります。

   私は月刊誌の編集長時代に、経営者や芸術家・文化人など各界の成功者を数多く取材したことがありますが、彼らだって必ずしも「最初から自分が望んだ道だけを歩んできた」とは限りませんでした。

   英語が苦手なのに、北米での販路拡大を命じられた営業マン。鉱石の買い付けを任されて、資源開発の勉強を一から始めた商社マン。中小企業経営者との付き合い方に戸惑ってばかりいた銀行マン。駆け出し時代に変わり者の編集者にダメ出しばかりされた小説家。みんな最初は「この仕事、自分に本当に向いているのか」と疑問に思ったといいます。

   取引先の担当が「本当はこんな仕事やりたくない」とイヤイヤやっていることを知ったら、安心して取引できますか?それよりも「この仕事には意義があるし、自分にも向いています」と前向きに取り組む人から商品を購入したいものです。

   そのほうが周囲も気持ちがいいし、最善の努力をして協力しようと思うものです。「頑張れ」と応援したくもなるし、「自分も前向きに頑張ろう」と共感するものです。

苦しい時は自己暗示。場数を意識すること

   仕事には、職種を問わず共通した「仕事の進め方」があります。それは机上で考えるだけでなく、場数を踏まないと身につかないもの。まずは、目の前の仕事で場数を踏んで「経験値」を上げること。それは将来、いろんな意味で必ずよい財産となることでしょう。

   苦しい時に効果があるのが「自己暗示」。いま企業で活躍している人たちの中にも、最初は向いていないと思った道で能力を発揮している人がたくさんいます。大手食品メーカー勤務のS課長も、若い頃は「自分は営業に向いていない」と思い込んでいたそうです。

   考えを変えるきっかけは、学生時代にアルバイトをしていたカフェの店長から「お前には押し付けがましくない社交性がある」と言われたのを思い出したこと。経理から営業に異動して活躍している先輩の存在も刺激になりました。

   「この仕事は悪くない機会」と暗示をかけ、周囲の助言を得ながら仕事をこなすうちに成果が上がり始め、周囲からの評価も高まりました。S課長は「仕事に対する姿勢を前向きにすることで、周囲からの期待が高まったんだと思います」と振り返ります。

   商社に勤務するD部長も、若い頃には一匹狼を自負し、後輩の面倒をみるのが大の苦手でした。管理職に抜擢されたときは憂鬱でしたが、学生のころの体育会の経験を思い出し「自分にはチームを育てられる可能性があるはず」と考えを変えたところ、管理職の仕事の面白さに目覚めていったといいます。

   とりあえず「この仕事は自分に向いている」と自己暗示をかけ、目の前の仕事で「場数」を踏むこと。それができた人は、修羅場をくぐりぬけた経験のない人よりも、社会で生き残る力を確実につけているはずです。

高城幸司

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*2011年6月、『図解 チームをもつ前に読む!リーダーシップが驚くほど身につく本』が学習研究社より発行されました。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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