強力なリーダーシップより「模範的なフォロワーシップ」を

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   先日行われた毎日新聞の世論調査で、「強力なリーダーシップを持った政治指導者の出現を期待するか」という問いに対し、「期待する」と答えた人が74%もいたそうです。

   しかし、すべてを首尾よく導いてくれるリーダーを求めておきながら、少しでも不満が出ると「この人にはリーダーシップが足りない」といってすぐに非協力的になったり、的はずれな批判をしてひきづりおろしたりするのはどうでしょうか。

リーダーの影響力はせいぜい1割か2割

従順なだけのフォロワーは「模範的」といえない
従順なだけのフォロワーは「模範的」といえない

   組織には、メンバーを導くリーダーだけでなく、リーダーを支える人たちが必要です。

   そんな存在は「フォロワー」と呼ばれますが、日本の組織論においてこの重要性が見落とされているような気がしてなりません。

   実際、組織が円滑に動き、業績が順調に右上がりになるためには、リーダーの影響力はせいぜい1割から2割であり、残りの8割から9割はリーダーの下で働くフォロワーの力によるとして、「リーダーシップ偏重」の考えに異論を唱える人もいます。

   カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授は、そんなひとり。著書『指導力革命 ― リーダーシップからフォロワーシップへ』の中で、こうした部下の力のことを「フォロワーシップ」と呼んでいます。

   フォロワーの役割は、リーダーを支えること。よってお互いが補完関係とも言えます。しかしフォロワーの中には、貢献度が低いのに批判ばかり言う迷惑なフォロワーもいますし、貢献度が高く批判は控えめなフォロワーもいます。

   ちなみにケリー教授は、貢献度が高く批判力も高いフォロワーを「模範的フォロワー」と呼んでいます。単に従順だったり、ただ目の前の仕事を黙々とするだけのフォロワーには、改善の余地があるとしているわけです。

   私たちは「日本の社会はすぐれたリーダーを生み出す力が弱い」と嘆く前に、本当に模範的フォロワーの層の厚い社会になっているか、省みるべきなのではないでしょうか。

フォロワーなくして「リーダーシップ」なし

「我が社の命運は、新社長のリーダーシップにかかっている」

   評論家気取りで語っているのは、総務部のAさん。新しい社長就任を前に、飲み会で後輩から「うちの会社はどうなるんですか?」と尋ねられて、したり顔で答えています。でも、会社の浮沈が1人のトップ次第って、本当でしょうか?

   フォロワ―がいなければ、リーダーシップは意味がありませんし、リーダーも存在することができない。そんなあたり前の事実に立ち返るべきでしょう。

   例えば、リーダーが「競合対策で価格を下げる戦略」を打ち出したとき、ケリー教授の理論に沿えば、「リーダーが決めたのだから」と受け入れるだけでなく、現場視点で「逆効果である、価格は据え置くべき」と感じたなら、忌憚ない意見を進言することも必要です。

   とすると問題になるのは、異論を受け止めるリーダーの度量。「強力なリーダーシップ」よりも、「フォロワーの声に耳を傾ける柔軟さを持ち合わせたリーダー」が求められるということになります。

   見方を変えれば、「強力なリーダーシップ」を求めることは、貢献度も低く批判力も弱いフォロワーの、無責任な姿勢ということになるのでしょう。

   ちなみにNHKで人気番組だった「プロジェクトX」のエピソードの多くは、リーダーシップ物語としてとらえられていますが、こう考えるとフォロワーシップ物語ですね。日本の職場でこれから大事な役割は、むしろフォロワーかもしれません。

高城幸司

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。「高城幸司の社長ブログ」
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