2020年 1月 26日 (日)

乱立する「就職適性検査本」の意外な手抜き

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   今回のテーマは「就職適性検査」の対策本です。取材を進めていくうちに、多くの適性検査本は、相当な手抜きをしていることが判明しました。

   適性検査とは、今の就活の第一関門。筆記試験の一種なのですが、非言語能力問題(計算問題など)、言語能力問題(国語)、性格検査などを合わせたものです。大型書店に行けば、参考書や問題集が棚一面に並んでいますが、正直どれも大差ないような…。そう思っていたら、実は結構な違いがありました。

カバーを替えれば「最新版」のできあがり?

悩める学生の弱みにつけこんでいないか?
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   分かりやすいところでは「年度版」の改訂対応です。どの適性検査本も「最新の就活に対応できる」とアピールするために、カバーに年度表示を入れています。年度が古いなら定価で買うよりも古本屋で買った方がいいということになりますから、当然の話です。

   ところがカバーを外すと、年度が刷られていない本があります。主要12社を比較してみると、カバーと本体の両方に年度表示があるのは5社。本体に表示がないのは7社にのぼりました。

   これはどういうことか。要するに古い版を使い回しても、カバーさえ変えれば常に新しい年度版として販売できるわけです。出版社としては、校正の手間がいらないので利益率も高くなるという次第。

   念のため、過去の本も国立国会図書館で調べてみました。洋泉社が刊行する本は内容がちょこちょこ変わっているのですが、ひどい社だと発刊した10年前とほぼ同じ。ウイスキーやワインで5年物・10年物なんて言い方をしますが、まさか就活本でも同様のことがあるとは思いもしませんでした。

   でもねえ、10年前の本って、ブックオフだと良くて100円、下手すれば買い取り拒否ですよ。それを10倍以上する定価で販売するのは、学生を微妙にだましているような気がするのですが…。

   もちろん、本体に年度表示が入っていたからと言って安心はできません。年度表示は違っていても本文や構成はほぼ同じ、という本もありました。

   私も自著のうち高校生向け進路ガイド(『時間と学費をムダにしない大学選び』/山内太地との共著)が年度版なので、改訂の手間がいかに面倒か熟知しています。もちろん、前年とは変えようのない部分はどうしてもあります。私の本も前年と同じ部分が多数あります。

   しかし、年度版をうたう以上、前年版と全く同じでは読者をバカにしているも同然。私の場合はコラムなどを総とっかえしています。これは私が知る良心的な著者であれば同様です。関係する出版社・著者はこの疑念に対して、真摯に対応する必要があるのではないでしょうか。

石渡嶺司(いしわたり・れいじ)
ライター、大学ジャーナリスト。札幌市出身。大学卒業後、派遣社員、無職、編集プロダクション勤務を経て独立。全国400校あまりの大学を取材し、教育や学生の就職活動に関する問題をテーマに執筆や講演活動をしている。著書に「就活のしきたり」(PHP新書)、「最高学府はバカだらけ」(光文社新書)、「転職は1億円損をする」(角川oneテーマ21)など 。共著に「就活のバカヤロー」「時間と学費をムダにしない大学選び2012」。「ライター石渡嶺司のブログ
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