2024年 4月 19日 (金)

ジョブズが上司なら、会社は本当に楽しくなるのか

天才は遠きにありて想うもの

   スティーブ・ジョブズがさらにすごいのは、どんなに彼が天衣無縫で自分勝手であろうとも、抜群の能力のある人間を惹きつけ、世界を変えるほどの大仕事を成し得たところだ。つまりリーダーとしての素質も併せ持っていたということだ。

   彼に罵倒された人々が、それをバネにすごい仕事を成し遂げた。これは普通の経営学の理論からは全く説明のできない話だが、それが現実に起きていたのだ。ただし、これはおそらく彼の個人的資質によるものであり、普通の人間がまねたら悲惨な結果を引き起こすだろう。

   逆に言うと、いつも笑顔と気配りを絶やさず、誰ともうまくやっていけて、家族を大切にし、身の回りはいつも完璧に片づけて、約束の5分前には必ず着いて待っている・・・というような人に、独創的なことはできない。そういう人は地道に公務員でもやっていた方がいい。

   我々凡人はせいぜいiPhoneを愛でて、ジョブズの偉業をたたえるのが似合っている。「天才は遠きにありて想うもの」なのである。


小田切 尚登

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小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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