民主党の「マニフェスト違反」 他党だって五十歩百歩だ

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   年明けの国会で、民主党のマニフェスト違反を批判する声が強まっている。行革による財源捻出失敗と消費税増税、子ども手当の迷走といった具合に、民主党は全然マニフェストを守ってないじゃないか、というのがそのロジックだ。

   確かに民主党のマニフェストにはそもそも無理があって、結果的に違反しているのは明白なのだが、見ていて強い違和感もおぼえる。熱心に「マニフェスト違反だ!」と言ってる野党の皆さん、自分とこのマニフェストはそんなに凄いんですかね?

自民が与党なら「消費税引き上げ」やったのか

   参考までに、筆者も参加する「若者マニフェスト策定委員会」にて2010年参院選時に行った各党マニフェスト評価を紹介しておこう。財政・社会保障分野に限ってみれば、民主党は全体の3番目、全然マシな方である。

   要するに現国会というのは、レベルの低いマニフェストしか作れない政治家の中で、まだマシなものを書いた人たちにやらせてみたんだけど、やっぱり上手くはいかなくて、それを見た予選落ちレベルの人たちが「おまえ全然ダメじゃないか」と対案抜きでイチャモンだけをつけるという、なんとも寒々しい光景なのだ。

   もう少し具体的に見ていこう。自民党は前回衆院選で負けたおかげでかなりマシなマニフェストになった。ホント、これだけでも政権交代させた甲斐があったというもの。法人税20%台への引き下げ、郵政民営化推進、財政健全化責任法、10年内のPB黒字化、そして消費税引き上げを含む税制改革など、どれも日本にとって必要不可欠な政策がズラリと並んでいる。

   ちなみに労働市場の流動化を促進するための解雇規制緩和もちゃんと明記されている。やはり人間は逆境に直面しないと成長しないものなのだ。

   ただ、疑問に思うのは、自民党は与党になった後に本当にこれを実現する気があるのか、という点だ。その後のTPP論議でも最後まで党としてのスタンスを示せなかった点からしても、自民党が与党になっていれば、今の民主党以上の壮大なマニフェスト違反になっていた可能性がきわめて高い。

   少なくとも、まったく真逆のことをやろうとしていた麻生政権くらいは「あの人は大失敗でした」くらい総括してもらわないと、まったく信用できない。

自民は民主と腹を割って話してはどうか

   他党も一長一短であり、文字通りマニフェストが実現していたとは思えない。

   特に、社民、共産、国民新の三党については、食料自給率の向上だの内部留保課税だの有期雇用の規制だの、まったく支離滅裂で、もはやファンタジー小説のレベルだ。与党になって実現しようと本気で考えた結果とはとても思えない。

   つまり、仮に今、マニフェスト違反だからといって解散総選挙やらせたところで、また次のマニフェスト違反解散総選挙をすぐに行うのがオチだろう。日本に残された貴重な時間だけが過ぎていくことになる。

   問題の解決ではなく、身内同士で言った言わないの議論に終始するのは、ダメな会議の典型である。野党第一党である自民党の支持率が一向に上向かない現実は、有権者の多くもそれを望んではいないということを示している。

   筆者は別に自民党に肩入れする気はないが、彼らのマニフェスト自体は、民主党の方向性とそれほど大きく違わない。ここは一つ、腹を割って話し合ってみてはどうか。

城 繁幸

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人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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