2024年 4月 27日 (土)

有給休暇のメール申請、何が悪い? 「具合悪くて電話どころじゃない」

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
電話申請を原則とするルールを作ることは可能

   有給休暇の申請手段は法的に定められていないので、基本的にメールでも電話でも認められます。しかし、メールのみではいけない合理的理由があれば、電話連絡をルール化することは可能です。職場によっては、社員の健康状態の把握や、代替体制の確認など、電話でやりとりした方がよいケースはあると思います。

   ただ、電話申請でなかったからといって、いきなり欠勤控除で減給するのは慎重にすべきです。確かに有給休暇は事前申請が原則で、当日申請の場合に「欠勤から有休に振り替える」かどうかは会社の裁量です。とはいえ、今回のように体調が極端に悪いなどの不可抗力もありますし、有休消化率の低い職場で欠勤にすれば社員の強い反発も予想されます。いくつかの労働基準監督署に確認してみましたが、「問題ない」という意見と「厳しすぎるのではないか」という意見に分かれていました。

   実務的には、基本的なルールを定めつつ、守らなかった場合には出社後に社員の事情を聞き、必要に応じて注意指導の対象とし、度重なるようであれば欠勤のうえ戒告などの処分をするという運用にしてはいかがでしょうか。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

体調不良の当日連絡、電話ですべきと思いますか?
電話で上司に報告した方がいい
ルールが電話なら従うべき
メールでもいいのではないか
尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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