2019年 11月 18日 (月)

「奥さんともご無沙汰だろ?」 部長の気遣いはハラスメントか

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   「パワハラやセクハラをしてはいけない」ということは浸透したが、何が問題行為なのか明確に線引きするのは簡単ではない。ある言動がハラスメントとなるかどうかは、行為者と受け取り側との関係や、受け取り側の身体的、精神的な状態も影響していると思われるからだ。

   ある会社では、上司に部下の私生活を気遣ったところ、部下が人事に「パワハラ行為をやめさせてほしい」と相談に来たという。

「もう、オレの家庭に口出ししないでもらいたい」

――中堅商社の人事です。営業部の30代男性Aさんから「B部長からパワハラを受けている」という訴えを受けて、双方から事情を聞いているところです。

   営業部では最近、若手社員が辞め、人員補充が間に合わないまま社員の仕事量が増えています。Aさんも、従来の仕事を終えた後に辞めた人のフォローをしているので、終電帰りになる日もあるそうです。

   そんな様子を見て、B部長は「Aさん、頑張ってもらって悪いな。しかし、あまり無理はするなよ」と優しく声を掛けていましたが、Aさんが休日出勤をしたことを知ると、急に様子が変わってきました。

「子どもが産まれたばかりなんだから、早く帰ってやれよ!」
「奥さんも怒ってるんじゃないか? 離婚の原因になるぞ」
「奥さんともご無沙汰だろう。2人目は当分先の話だな~」

   そんなB部長の小言にユウウツになり、Aさんが相談に来たというわけです。

「上司だからって、言って許されることと、そうでないことがあります。あの発言はパワハラです。もう、オレの家庭に口出ししないでもらいたいんですよ!」

   B部長に事情を聞くと、Aさんは責任感が強く、どんな仕事も丁寧にやってしまうので、もっとメリハリをつけて欲しいと思っているが、なかなか伝わらないと言っています。

   また、自分の経験として仕事一筋が原因で離婚し、今ではさみしい生活を送っているので、部下にそのような思いをさせたくない一心で言ったことだとのこと。嫌がらせなどの悪意はないようです。こういうとき、どういう対処をしたらいいんでしょうか――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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