スマホの充電してたら上司から「電気泥棒」と言われました

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   普通の携帯電話からの切り替えが急速に進んでいるスマートフォン。さまざまな機能がついていて便利だが、電池のモチが非常に悪く、ひっきりなしに充電しないと電源が切れてしまう。

   充電ができるカフェなども街中にできているが、ある会社の若手社員は、私物のスマホを会社で充電していたら、上司から叱られてしまったと不満顔だ。

デスクで扇風機や加湿器を使ってる人もいるのに

――広告代理店で3年目の営業マンです。最近、上司の営業課長からこんなことを言われて頭にきています。

「おまえ、スマートフォンの充電を会社でやってるのか? そんなのは家でやってこいよ。会社のコンセントから無断で充電するのは、電気泥棒と同じだぞ」

   確かにスマホは僕の私物ですが、親しいお客さんからは電話がかかってくることもあります。そのときに電池が切れていては、連絡が取れません。

   うっかり充電を忘れて会社に来ると、早々に電源が落ちてしまいますし、普通に1日待ち受けにしているだけでも、電池がかなり減ってしまいます。

   だいたいスマホの充電なんて、電気代はタカが知れてるじゃないですか。そんなみみっちいことを言うんだったら、他に経費削減できるところはあると思います。

   現に、事務の女性のデスクには、USBから電源を取るタイプの電気製品がゴロゴロしています。夏には扇風機、冬には加湿器や電気カイロのようなものも使っています。そっちの方が電気代がかかると思うのですが。

   別の部署の同期にグチったところ、「課長もセコいこと言ってんなあ」「仕事でも使ってるんだしイイんじゃない?」という反応が大半。でも「それは課長の言うことが合ってるよ」という人も数人いました。実際のところ、どれが正しいんでしょう――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
無断充電は窃盗。公私混同は避けるべき

   スマートフォンの充電に使う電気代は微々たるものなので、このくらいならいいだろうと思っているようですね。しかし実は、無断で会社の電気を使って充電すると、課長の言うとおり窃盗になってしまうのです。この行為は「盗電(とうでん)」といって、現にコンビニの外壁から無断で携帯電話を充電していた中学生2人が、「被害額1円」で書類送検されたこともあります。会社が社員を盗電で通報することはほとんどないと思いますが、悪質な場合は通報されても仕方ありません。女性事務社員の扇風機や加湿器は、会社に無断で使うべきではありませんが、スマホは自宅で充電ができるわけですから必ずしも同一視できないでしょう。

   厳しいかもしれませんが、こうしたことをしっかりやっておかないと「公私混同もこれくらいなら許される」という考えが職場に蔓延します。そこから経費のごまかしや、備品の私物化などに発展するおそれもあります。小さなことを安易に見逃さないことは、実は大きな意味があるのです。

臨床心理士・尾崎健一の視点
守れるルールを守らせるのが現実的

   スマホの充電を禁止することで、取引先との連絡がとれなくなるリスクが確かにあります。また、禁止によって隠れてパソコンのUSBから充電したりして社内ネットにウイルスが侵入されても困ります。そんなリスクを負うよりも、堂々と守れることをルールにして徹底する方が現実的でしょう。専用の充電コーナーを設けたり、決まったコンセントからOKのルールを作ったりして、私用充電を許容してもいいと思います。

   「会社のペンを私用で使う」「社有車で帰りに寄り道する」「会社から家に電話する」といった、誰もがやってしまう公私混同をガチガチに禁止しては、社員は会社から信用されていない気がしてモチベーションが下がってしまいます。業種や職種によっても異なると思いますし、原則として会社が決めて守らせることではありますが、最低限これだけはダメだけど、その代わりこれなら許すということを明らかにして、何が何でも「公私混同禁止」だけではない方法もあると思います。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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