2024年 4月 17日 (水)

「アリ」と「キリギリス」のハイブリッドの国、日本

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悲観もわかるが、まだまだ捨てたものではない

   もちろん、そうはいっても日本が桃源郷であるはずもなく、問題がたくさんあることは言うまでもない。悲観的になる人の気持ちもよくわかる。アリが勤勉に努力するのも、将来(冬)に対する不安があるからだ。ネガティブな意識がやる気を生むこともある。

   しかし、ここはキリギリスのように楽観的に生きることを目標とすべきだと思う。日本は経済力のみならず、平均寿命、教育水準、犯罪率、政治への国民の声の反映の度合い、言論の自由など多くの点で世界のトップクラスにある。セイフティネットも完備しているので、「成功するかどうかわからないがやってみよう」という前向きな判断が可能だ。

   今の世界を代表する会社といえば、アップルにとどめを刺す。アップルの凄さは、キリギリス的独創性を持った連中が面白がって新しいアイデアを出し、アリ的人々(東アジアに多い)をうまく下請けとして使って製品化して儲ける、というところだと思う。

   アリだけで作ったら、信頼性は高くてもつまらない製品となる可能性があるし、キリギリスだけでは、カッコよくてもすぐ壊れるものになる恐れがある。アリとキリギリスのいいとこどりをしている日本。まだまだ捨てたものではないはずだ。(小田切尚登)

小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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