クロージングでは「渇望感」を煽れ!――勝ち残るリアル営業(7)

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   「勝ち残るリアル営業」も、ようやくプレゼンまでこじつけました。ここまできたら営業の成否は、最終段階である「クロージング」にいかにうまく持ち込むかにかかってきます。

   クロージングとは「締めくくり」のこと。相手に「買いますか?買いませんか?」と決断を迫る瞬間で、一般的には価格提示が引き金になります。

   効率を重視するネット営業では、ひと通りの商品説明を読ませたら、あわせて価格を提示して判断を仰ぐことが多いでしょう。「プレゼン即クロージング」なので、買い手は価格比較で購買の可否を判断する傾向が強く出ます。

   同じスタイルであっさりクロージングに持ち込んだのでは、リアル営業の強みをまったく生かすことができません。できるだけ「単純な価格判断」に持ち込ませないための工夫が必要なのです。

価格は相手が知りたくなるまで教えない

早く決着をつけたいという焦りが裏目に出る
早く決着をつけたいという焦りが裏目に出る

   あとひと押しの段階で「クロージングを急がないこと」。これは多くの営業の達人たちが共通して話す営業のコツでもあります。

   要するに、相手が「価格を知りたい」と尋ねてくるまで言ってはいけない、ということ。言いかえれば、相手が購入を検討してもいいと思い、価格を知りたくなる状況まで教えるな、ということです。

   プレゼンの後に「いかがですか。使ってみてもいいかなとは思いませんか?」と投げかけて、

「確かによさそうだね。でも高いんでしょ?」
「使えそうな気がするけど、試しに価格を教えてよ」
「いいものだとはよく分かった。でも価格を聞かなきゃ決められないよ」

といった台詞が相手から引き出せるなら、クロージングのタイミングは近いと判断してよいでしょう。

   つまり、プレゼン資料の最終ページに価格を書いて配布するような、ありがちなやり方は極力さけるべきだということです。

   そんな資料を受け取った相手は、たいていパラパラとめくって最初に価格を確認し、それを踏まえてプレゼンを品定めします。これでは、せっかく商品やサービスの魅力を訴えるプレゼンも効果が半減してしまいます。

   最悪の場合、価格のことだけが頭の中をずーっと占めてしまうかもしれません。そうなったら他社との価格だけの比較に巻き込まれてしまいます。「プレゼン」と「価格提示」は切り離すことをしっかり心掛けたいところです。

「結果はCMの後で!」にヒントを得た演出も

   クロージングのタイミングについて、ある法人営業の達人は、「渇望感を煽れ!」と表現してくれました。もし時間に余裕があるのなら、紙芝居屋のおじさんが「さてこの続きはまた明日!」としたように、できるだけ引っ張りたいところです。

   期待感を持たせて数日後に再度訪問することは、相手に一層の親近感をもたせ、ライバルに差をつけることにもつながりますし、練り込んだ価格設定との印象を植え付け、値引きリスク回避にもつながるのです。

   その場で価格を提示せざるを得ない場合にも、ちょっとした焦らしの工夫が功を奏します。これは私が実際に目の当たりにしたのですが、営業マンが提示した資料の価格欄が空白だったことがありました。

   プレゼンをひととおり終えた彼は、おもむろに、

「ギリギリまで本社と折衝しておりました。今電話で確認してから最終的な価格を提示させてください」

と言って席を外しました。そして、数分後に呼吸を整えてから金額を提示してきたのです。

   同席した当社の役員は思わず「商品も良さそうだし、弊社のために大変お骨折いただいているようだから、こちらに決めたらどうだ」と即決するに至りました。

   後に懇意になった営業マンから打ち明けられたのですが、これはテレビの「結果はCMの後で!」という手法にヒントを得た演出で、実際には金額は決まっていたものの、どうしても値引きできない状況の打開策として考えた苦肉の策であったそうです。

   まんまとしてやられたわけですが、このようにクロージングの「間」の取り方というのは非常に重要です。せっかく積み上げたプロセスを台無しにしないように、焦らず細心の注意を払うようにしてください。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。執筆にあたり若手ビジネスマンを中心に仕事中の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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