「職場のいじめ」は本当に増えているのだろうか?

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「被害妄想?」と疑いたくなる事例もある

   また本書には、「コミュニケーション不全」ともいうべき事例も目につく。ある男性は社長から朝礼で「あなたは小学生以下だよ」等の暴言を受け、出勤できなくなって退社したと訴えている。

   一方、会社側の言い分は、高熱でインフルエンザの疑いもあるのに出社したので「小学校でも登校禁止だ」と言ったことを誤解しているというものだ。

   「会社は若返りを図り、シルバーを辞めさせようとしている」と訴えるものの、具体的な店長の発言が示されない事例もあった。本書には「主観的認識の乖離」「被害妄想的」という言い回しも見られる。

   ある社会保険労務士によると、職場いじめのトラブルには、本人が周囲に一方的に迷惑をかけ、注意されると「自分はいじめられている!」と訴えるケースも少なくないそうだ。

「ある程度の規模の会社になれば、必ず何人かいるんですよ。前の会社で同じトラブルを起こして辞めている人もいて、まさに『ブラック社員』なんです。怪しい社員とのやりとりは記録を残し、理不尽な言いがかりにも感情的に反応しないのがポイントなんですが…」

   悪質なハラスメントは根絶すべきだが、一方的に「悪いのは会社だ」「不況下で弱い労働者がいじめられている」と訴えても解決しない問題もあるのではないか。

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