ソーシャルメディアは「モノを売るのに向いてない」理由

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   先月報じられたGMのフェイスブックからの広告撤退は、日本の企業の担当者にも衝撃を与えたようです。一方、GMのライバルであるフォードが、新たにフェイスブックでの広告展開を始めるというニュースもありました。

   ある大手企業でソーシャルメディアを利用した広報活動を担当しているAさんは、次のように言います。

「GMは、まだフェイスブックページは残していますよ。つまり、広報的な発信は続けていくけど、フェイスブック上で製品を売ることはやめた、ということなんです」

ユーザーは企業に「メリットの提示」を望んでいる

   フェイスブックを企業活動にどのように活かしていくか、昨年あたりから企業でもさまざまな試みが行われている、とAさん。そうしたなかで、最近になって少しずつ方法論が構築されつつあるそうです。

   別の企業の担当者であるBさんが、その手応えについて話してくれました。

「いろいろな勉強会を経て、実際にソーシャルメディア利用を始め、だんだんと分かってきたのは、ソーシャルメディアは実はモノを売るのには向いていないのではないか、ということです。顧客や顧客予備層とのコミュニケーションには、確かに効果があると思いますが、イーコマース的な使い方には、まだ疑問符がつきますね」

   ソーシャルメディアがケータイやスマートフォンなどの個電、つまりはパーソナルなツールでの利用を前提としているからかと水を向けると、異口同音に肯定する返事がありました。

「ユーザーがソーシャルメディアを通じて求めているのは、企業や製品についての情報であって、モノじゃないんですよね」

とAさんが言えば、Bさんは「ユーザーが何かを買ったり選んだりする際に、参考となったり決め手となる企業側からの説明、あるいはメリットの提示を望んでいるのではないか」と分析していました。

   例えるなら、さしずめ企業サイドの説明による「製品比較サイト」的な向き合い方をユーザー側はしている、ということなのでしょう。

やり方次第で「ステマ」呼ばわりされるリスクも

   さらに別の企業のCさんは、ステマ(ステルスマーケティング)批判への危惧があると言います。

「これは、ちょっと不思議なことなんですけどね。マスではない、パーソナルなコミュニケーションだからこそ、ある種の洗脳というかイメージ操作のようなことへの警戒感や嫌悪感があるように感じます。極端に言えば、個室のなかで無理矢理に買わせる、というイメージですね」

   これが、一種のステマとして批判的にソーシャルメディアのなかで語られると、その拡散スピードからして、企業イメージを含めてかなりのダメージを被る可能性がある、というのです。

   そこまでは考え過ぎ、という意見もあるかもしれません。

   しかし、企業と消費者とが同じ目線でコミュニケーションが取れるソーシャルメディアであるからこそ、モノの売り買いではなく、モノについての情報のやり取りをしたいという意識が働いているのではないか、と想像がつきます。

   ソーシャルメディアのうまい使いこなし方はどのようなものなのか、今後もしばらくはトライアンドエラーが続きそうですね。(井上トシユキ)

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