2020年 9月 18日 (金)

地方で集めて地方で使う お金の「地産地消」はできないものか

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   銀行に預けた預金はどうなるのか。教科書風に答えれば、それは貸出に廻るということになる。しかし、現実に貸出に廻る預金の割合は年々下降の一途をたどっている。現在ではおよそ7割である。

   大都市部では大企業が多く借入が進むので、預金を吸収してくれる。しかし、地方には大きな企業も少なく、お金の貸出先がなかなか見つからない。銀行によってまちまちだが、中には預金として集めたお金のうち3~4割も貸出にまわせない銀行がいくつもある。

   だから、地方銀行は東京支店を設置し、地元で集めたお金を東京の大企業に低利で貸し付けることになる。低利になるのは大企業は貸倒がめったにないからで、不当に低利にしているわけではない。

   こうしてお金は、地方から大都市へ流れ込む構造ができあがる。

地方にだって優良な借り手がいるはずだ

(カット:長友啓典)
(カット:長友啓典)

   では、地方に資金を活用する優良な借り手がいないのかというと、必ずしもそうではない。前回、前々回と取り上げた公営企業(たとえば水道事業、交通事業など)は、地方で優良な借り手になる可能性がある。

   水道事業は、平成22年度で10兆円ほどの借入を行っている。地域によって料金水準格差はあるが、基本的には収益が確保されている。実際、同じ平成22年度で3兆円の総収益に対して、2100億円程度の当期純益をあげている。

   他会計からの繰入や国や県などからの補助金も520億円であり、これらを除いても1500億円以上の純益をあげている。売上に対する当期純益ベースの収益率は5%程度である。現在の時点でいえば、民間事業でもなかなかこれだけの高収益事業は見当たらない。

   交通事業は、個別事業、個別路線ごとにまだら模様になる。かなり古い時代に建設した地下鉄路線の場合、設備の減価償却も終わり、収益を上げやすい構造になる。一方、バスについては高齢者が病院に通うために必要だという福祉的な理由から運行されることもあり、そうした路線は当然収益的には苦しくなる。

   だから、大都市部の地下鉄事業は収益を上げやすいが、地方部のバス事業は苦しい採算になる。それでも貸出先を個別に吟味していけば、優良な借り手が見つかることになる。

   公営企業は、収益的に厳しい自治体の第3セクター事業とは異なり、民間と比較しても高収益をあげている事業が混ざっているのである。

大庫直樹(おおご・なおき)
1962年東京生まれ。東京大学理学部数学科卒。20年間にわたりマッキンゼーでコンサルティングに従事。東京、ストックホルム、ソウル・オフィスに所属。99年からはパートナーとして銀行からノンバンクまであらゆる業態の金融機関の経営改革に携わる。2005年GEに転じ、08年独立しルートエフを設立、代表取締役(現職)。09~11年大阪府特別参与、11年よりプライスウォーターハウスクーパース常務執行役員(現職)。著書に『あしたのための「銀行学」入門』 (PHPビジネス新書)、『あした ゆたかに なあれ―パパの休日の経済学』(世界文化社)など。
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