26歳駆け出しライターが「成功するフリーランス術」を教わりにいく

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   「会社員」という息苦しい働き方を脱し、「フリーランス」になりたがる若者が増えている。黙っていても毎月の給料が振り込まれる楽な立場を辞して、彼らが追い求めるのは「自由」だ。

   しかし、自由を求めて踏み出したはずのフリーランスでは、意外にもフリーに生きていくことは難しいことが後になって分かり、苦しい生活を強いられたり、会社員時代よりも働き方が不自由になったりする人も見受けられる。

   フリーランスが挫折や失敗をなるべく軽く済ませるには、どういうところに気をつけておけばいいのか。今年会社を辞めたばかりの26歳フリーライター池田園子が、ベテランのフリーランス、中山マコトさんに教えを請いにうかがった。

一番大事なことは「選択の自由」を死守することだ

「安易に考えたら大やけどするよ」(中山)「もう会社辞めちゃったんですが…」(池田)
「安易に考えたら大やけどするよ」(中山)「もう会社辞めちゃったんですが…」(池田)

   フリーやノマドが流行語のようになっている昨今だが、中山さんの『フリーで働く!と決めたら読む本』(日本経済新聞出版)には、いきなりこう書かれている。

「フリーランスって大変なんだよ、安易に考えたら大やけどするよ」

   それでもフリーランスという働き方を選ぶ理由は、「自らの人生に、常に、主導権を持つこと」ができるから。景気やクライアントの都合、取引先とのしがらみに翻弄されず、自らの意思と見識、判断で自分の人生を切り拓いていく。

   独立したのはいいが、単に「個人でお仕事を頂戴する」立場に変わっただけだと、相手に振り回されてしまいがちだ。そんな「なんちゃってフリーランス」にならないためには、なんとしてでも「選択の自由」を死守しなければならない。

   そのために独立時に行うべきことは、中山さんによれば「サラリーマン時代にお世話になったクライアントに、あえて別れを告げること」。普通は「独立したら仕事を出すよ」と言ってくれる人を大事にすべきと考えがちだが、あえてその逆をしろという。

「元のクライアントから直接仕事をもらえば、古巣の会社を敵に回すことになる。甘いことを言っていた人たちも、実際にはあてになりません。自分の最大の理解者である古巣から将来仕事を回してもらうためにも、まずは自分で新しいクライアント探しを始めるべきなんです」

   とはいえ、既存クライアントとの付き合いを切れというのではなく、クライアント会社の「別の担当者」を紹介してもらうところから始めるといいのだという。こうすることで、誰にも迷惑をかけることなく「選択の自由」を獲得することができるわけだ。

会社が辞めさせてくれない「売り物」が身についているか

新米ライターに「フリーランスの心構え」を厳しくレクチャーする中山マコト氏(右)
新米ライターに「フリーランスの心構え」を厳しくレクチャーする中山マコト氏(右)

   そのようにして独立した後、いかにしてスタートダッシュを切るか。中山さんはコーヒーチェーンの名前を出して「ドトール方式」で行くべきだと教えてくれた。

「ドトールって、利用客の事前調査を念入りにやるし、コスト削減も徹底してるでしょう? だから出店初日からお客を集められて、すぐに黒字化できるんですよ。フリーランスも、こういう状態を作りたいものです」

   フリーランスには後ろ盾がないので、金銭的なリスクを徹底的に回避しなければならない。借金はしない、極力オフィスを持たずリースも組まない、スタッフを抱えない、広告宣伝をしない…。そして何より、自分がやろうとしていることに需要はあるのか、業界内でどの分野が伸びるのか。調べることはたくさんある。

   自分がしていくことなのに、徹底的に調べない人が多いと、中山さんは不思議がる。何を調べればよいのかさえ分からないときは、自分が生きていきたい業界で「気持ちよく仕事をしているフリーランスに話を聞きに行く」のが手っ取り早いという。すると、業界内での需要と供給が正しく理解できる。

   また、中山さんは「早く独立したい」と焦る人たちに、「会社にいるうちにやるべきことを、きちんとやりきったのか」と釘を刺す。

「本当の辞めどきというのは、辞めますといっても辞めさせてもらえない状態になったとき。フリーランスで失敗する人の共通点は、専門性が弱いこと。独立するからには、自分で勝負できる売り物を身につけておかないとダメなんですよ」

   自分の専門性に自信が持てず、将来に迷いがある筆者としては、正直耳が痛い――。

10人中9人に嫌われてもいい「捨てていける生き方」

帯を外し、付せんを貼って読み込み中の『フリーで働く!と決めたら読む本』
帯を外し、付せんを貼って読み込み中の『フリーで働く!と決めたら読む本』

   会社の支えがなくなった状態でも、人が寄ってくるか、自分に仕事を依頼してくる人がいる状態になっているか。これがなければ「選択の自由」は死守できない。

   ただし社内で評価が低くても、社外で高い評価を得られるなら問題はない。いまはインターネットという便利なツールがあるので、自分の考えを発信し、反応を確かめられる。会社に勤めながら、そういうリサーチはあらかじめ可能な時代になっているのだ。

   仕事を依頼してくれる人が命綱のフリーランスだが、だからといって八方美人になる必要はないと、中山さんは言う。仕事の中には、イヤな仕事もある。イヤな仕事ばかり引き受けていたら、フリーランスになった意味がない。

「イヤな仕事って、イヤな奴から来ることが多いんですよね(笑)。だから、イヤな人とは付き合う必要はない。嫌われたい人には、嫌われてもいい。10人中9人が僕を嫌いでも、残りの1人が素晴らしい理解者なら、仕事を持ってきてくれたり、人とつなげてくれたりする。それで十分じゃないですか」

   嫌われることを恐れては、フリーランスにはなれない。「自由とは、捨てていける生き方」というのが中山流だ。色々なものを捨て去った後、残ったものの中に譲れない、光るものがある。そんな「選ぶ力」こそが、フリーランスに必要だなと感じた。(池田園子

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