2020年 8月 15日 (土)

小説「ロスジェネの逆襲」に学ぶ「組織と人が腐る理由」

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「世の中の常識と組織の常識を一致させること」

   絶大な力を持ったトップが腐れば、その組織は確実に腐る。部下たちは、B氏の指示を受けて、銀行残高確認書類の改ざんや、架空売上の隠ぺい処理に加担させられた。グループ内に内部通報制度はあったが対象は国内のみで、海外の子会社等は各社の裁量に任されていた。A社の関係者は、

「指示の不自然さは認識してはいたものの、B氏からの報復を恐れるあまり、(内部通報による)情報提供には至らなかった」

と述べている。このような体制では致し方なかっただろう。

   もちろん、B氏だけに責任をなすりつけることはできない。例えば、リーマンショック以降の欧州経済の停滞、製品の価格競争激化などの逆風下にもかかわらず、前期比XX%増という一律の業績目標を機械的に課した親会社が、不正の動機を誘発した側面はないか。

   不正の可能性について報告を受けた親会社トップの反応も内向きだった。「過去に会計監査人から指摘を受けていない」「B氏がそのようなことをするとは信じられない」などの理由から、「より正確な事実把握に努める」よう指示しただけで対応を先送りし、監査役への報告も遅れている。

   さらに、A社の監査法人の責任者が変更となり、従来指摘されていなかった点が問題視されると、売掛金の評価損を計上しないで済むにはどうするか、などに腐心した。

   「ロスジェネの逆襲」の主人公は、自分の信念をこう語っている。

「簡単なことさ。正しいことを正しいといえること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただ、それだけのことだ」

   正しいことを正しいといい、おかしいことはおかしいという。ただ、それだけのことだが、本当に難しい。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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