2024年 4月 27日 (土)

財テク社員の「自己破産」が発覚! 今後が不安なので解雇したい

社会保険労務士・野崎大輔の視点
社員が自己破産しても解雇は難しいだろう

   自己破産とは私生活上の問題であり、会社が管理すべき範囲のことではありません。普通に勤務している限り、A君を解雇することは困難です。判例には、ある信託銀行が自己破産した行員を解雇したことを有効としたものがありますが、よく見ると特に信用が重視される業務であったことや、他の問題行為などを総合的に判断したもののようです。

   自己破産によって警備員や宅建業者、証券外務員などは資格制限を受け、会社の取締役への委任も終了します。しかし数か月間で破産手続きを終えて復権すれば資格制限等もなくなるので、解雇は難しいでしょう。今回は製造業の経理部員ですので、会社としては適性を疑いたくなるでしょうが、現実的には金銭を取り扱わない部署へ異動させる対応が適切だと思います。なお、一般的には株やFXといった資産運用は副業としていないケースが多いようですが、社員のトラブルが目に余るようであれば、副業禁止規定の見直しも必要ではないでしょうか。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中