2024年 4月 16日 (火)

上司の指導に不満の社員 「労基署にタレ込んでやる!」と興奮

臨床心理士・尾崎健一の視点
まずはAさんの「気持ち」に沿って耳を傾ける

   上司の言動は、厚生労働省の「職場のパワーハラスメントの行為類型」の「過大な要求」に当たるおそれがありますが、「業務の適正な範囲を超えて」行われたかどうかは判断が難しいところです。まずは双方から話を聴くことから始めるべきでしょう。

   パワハラが社外に出るトラブルに発展するパターンは、だいたい決まっています。会社に相談したものの、「その程度は仕事につきものだ」と突っぱねられて腹を立て、「まともに取り合わないひどい会社は訴えられて当然」となるわけです。相談を受けた人事は、Aさんが訴える気持ちに耳を傾け、いったん受け入れましょう。「上司はそんなつもりじゃないでしょう?」などと言うことは、Aさんの感情を否定することになりかねません。もちろん、上司にも言い分があるはずなので公平に聞き取ります。このプロセスの中で「どちらが悪人か」を判断する前に、お互いの誤解や言いすぎに気づくこともあり、今後の仕事のあり方について話し合えば済むケースも多いものです。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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