2024年 4月 19日 (金)

上司の指導に不満の社員 「労基署にタレ込んでやる!」と興奮

社会保険労務士・野崎大輔の視点
労基署はパワハラ相談を受けないが人事は警戒が必要

   労働基準監督署がパワハラ相談に乗ってくれるかどうかについて、担当者に問い合わせてみましたが、具体的な解決に向けて介入することはなく、是正を指示するなどの強制力はないようです。労基署は「労働基準法に定められた監督行政機関」であり、労基法にはパワハラに関する条文がないからです。パワハラが精神疾患や労使トラブルにつながるケースが多いことから、アドバイスという形での助言指導はするようですが、社員が相談する効果は限定的といってもいいでしょう。

   労基署のアドバイスでも会社が改善せず、本人が納得できなければ、労働局に問題解決のあっせんを申請するか、裁判に訴えることになります。そうなっては会社も困るので、人事がパワハラに当たるかどうか判断し、必要に応じて当事者に指導する必要があるのではないでしょうか。ただし、ハラスメント行為が傷害罪や名誉毀損罪など刑法に抵触するような場合は、本人が警察に届けても仕方ありません。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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