2024年 4月 27日 (土)

「ノマドは営業しない」なんて実はウソだ――村上アシシの「ガチノマド」5箇条(5)

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   今回も読者から寄せられた働き方に関する相談にお答えします。

Q:ノマドワーカーって、とにかく「営業が大嫌い」って言いますよね。僕は会社で営業をやってるんですが、「ソーシャルメディアがあれば営業はいらない」とか言ってるのを聞くと、単に人との摩擦が怖いだけなんじゃないか、と思ってしまうんですよね。他人に少しでも否定的なことを言われたくない、ビビリなんじゃないかと。組織で目標や計画を立てれば、ノルマだって生まれます。その達成に従事する人に向かって「顔が見えないサラリーマンの時代は終わり」とか失敬なことを言われたくないんですよ。アシシさんもノマドだから、営業しないんですか?(MS08・28歳・商社営業)

「営業はいらない」と発言すること自体が営業

アラブ首長国連邦で開催中のAFC U-19選手権。対戦相手のイラクサポーターと記念撮影
アラブ首長国連邦で開催中のAFC U-19選手権。対戦相手のイラクサポーターと記念撮影

   ノマドのオピニオンリーダーたちが「営業をしないのが私のポリシー」と言っているのを、どこで見ましたか? どうせテレビやウェブ記事のインタビューですよね。そのインタビューを受けることこそが、彼らの営業なんですよ。

   メディアで「営業はいらない」と発言して注目を集めること自体が、ソーシャルメディアのコンサルをしたり、本を売ったりするための営業活動。騙されちゃいけません。

   個人事業主は、特に独立初期には営業活動は必須です。営業もせず、知らない人からソーシャルメディアでおいしい仕事が舞い込むなんて、ありえません。

   営業の仕方について語る際、僕の場合は本業としてやっている「コンサル業」と、趣味でやっている「サッカー観戦」ではやり方が異なります。

   コンサル業は人材の募集対象が限定的なため、不特定多数への飛込み営業は基本的に行いません。独立当初は、エージェント業をやっている前職の外資系コンサル企業の元先輩などに連絡を取り、直接仕事をもらいました。これもれっきとした営業活動です。

   紹介してもらった仕事は、しっかりと責任を果たし、エージェントとの間で信頼関係を築き上げていくことが非常に重要です。なぜなら個人コンサルにとって、彼らエージェントとの関係が「命綱」だからです。

   いま僕はサッカー日本代表を追って、オマーンの首都マスカットに来ているのですが、12月から稼働できるプロジェクトを紹介してもらうため、日本のエージェントと密にやり取りをしています。世界をフラフラしているように見えますが、「半年旅人」の期間にも、次の「半年仕事」の配属先を見つけるため、裏で地道な営業活動を行なっているのです。

   このような営業活動は、「サッカー観戦」でもかなり熱心にやっています。

外から見えなくても、みんな必死に「営業」している

   先月出版した「日本代表サポーターを100倍楽しむ方法」にも書きましたが、僕には「サッカーW杯で日本代表を優勝させる」という夢があります。その実現に向けて、サポーターという立場で「サッカー布教活動」を継続してやっているのですが、その活動の中で自分なりの「営業」は欠かせません。

   南アW杯出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」に旅立つ前は、「情熱大陸」や「やべっちFC」など人気番組のプロデューサーに人づてでアポをとり、企画書を説明して番組で取り上げてほしいと営業に回っていました(結果は企画倒れに終わりましたが)。

   帰国して認知度がある程度高まってからは、世界を飛び回るサポーターとして、テレビやラジオに何度か出演させていただけるようになりました。これらもほとんど自分から営業をかけています。

   ドラッカーが「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」と言っていますが、自然に売れていく仕組みをつくり上げるのは、あくまで最終型です。ノマド界のカリスマたちは、何もせずともバンバン仕事が舞い込んでくるのでしょうが、それはごく少数の限られた人々の特権です。

   本気で「営業しない」と言っていいのは、「男はみんな寄ってくるから」と微笑んでいられるミス日本くらいのもの。一般人が目指すべき道ではありません。

   SNS上の著名人たちに憧れ、自分の「モテキ」はいつ来るのかと夢見ながら「ソーシャルメディアでの振る舞い方」を取り繕うくらいなら、こつこつと人並みの営業力をつける方が、ノマドとして食いっぱぐれずに生きていく近道になると僕は思うのです。(村上アシシ)

サッカー日本代表が出場する国際大会に毎年参加するコアサポーター(写真左)。本名、村上敦伺(あつし)。1977年生まれ、札幌市出身。職業はフリーランスの経営コンサルタント。元同僚の四方健太郎(写真右)とともにサッカー南アW杯出場32か国を2年間かけて訪問し、『世界一蹴の旅』(双葉社刊)を上梓。「半年仕事・半年旅人」のライフスタイルを2006年から継続中。ツイッター @4JPN
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