ソーシャルメディアを使った就職活動、いわゆる「ソー活」について、ネット上でブーイングが起きている。きっかけは週プレNEWSに掲載された「人事部は就活生たちのFacebookのココを見ている」という記事だ。「大勢の外国人の中で、本人が笑って写っている写真なんかがアップされていたら評価は上がります」(企業の採用担当者)「名前をネット検索して“何も出てこない”学生も問題視されます」(ITジャーナリスト)といった識者のコメントに、「こんな採用をしていて日本企業は世界で勝てるのか?」と批判的な書き込みが殺到しているのだ。もはやフェイスブックは「嘘を書くところ」?ネットとリアル、どっちが「ホントの自分」?ネットユーザーの言い分は、わざわざ顔と実名を出してネットに書き込みをするのは、普通の個人にとって大きなリスクだということ。にもかかわらず、そんな使い方を安易に奨励し、流れに従わない学生を否定するのは誤っているというわけだ。確かに、個人情報をネット上に公開すれば、世界中どこの誰からも見られてしまう。ストーカーなどの被害にあうリスクも高まるし、ちょっとした失言がきっかけでネット上に身元がバラされてしまうケースも多い。また、ネット上のキャラクターと、リアルの人間像を混同してもらいたくないという声もある。記事内でコンサルタントが紹介している不動産会社では、面接で物静かだった女子学生のフェイスブックを採用担当者たちがチェックしたらしい。その結果、友達が300人近くおり、書き込みごとに数十件のコメントがついていたことが分かり、担当者たちは「これは人望がないとできない」と評価をプラスに逆転させたという。このエピソードにも、ネットユーザーは厳しい疑問を投げかけている。「ネット番長ってやつね」「ネットなんていくらでも自分を偽れる、って事が分からないアホなんだろうな」衆人環視の中、自分を装えるものにしか「いいね!」を押さないはずと喝破する人もいた。他人から可愛く見られたい女性なら可愛いネコや洋服の写真に、知的に見られたい男性なら小難しい内容のブログに「いいね!」を押す。人望とはまったく関係ないというのだ。「もはやフェイスブックは嘘を書くところであって、それが常態化しすぎてコミュニティとして機能してない」「外国人と写真を撮らせる商売」誕生するのかSNS誕生の地の現状を知らせる書き込みも見られる。「本家アメリカじゃ、受けのいいことしか書かない学生が続出して、採った企業があまりの仮面との落差に驚愕して、採用での参考にしないそう」社会学者の宮台真司氏も、インタビュー記事でヨーロッパの「フェイスブック離れ」を紹介しつつ、友達の数を競い合う人たちを呆れた目で見ている。「嫌なのは、『自分は友達多いぞアピール』や『自分は知的だぞアピール』『自分はイケてるぞアピール』の浅ましさです。(略)人を幸せにすることじゃなく、自分が幸せになることだけ考える連中から漂う腐臭が、嫌なんです」しかし現実には、就職を少しでも有利にしようと、必死に友達を増やそうとする学生は少なくないようだ。ツイッターには「最近全然知らない人でメッチャ友達多い人から友達申請来るけど、いわゆるソー活ってやつのためかね?」といった書き込みも見られる。ソー活が過熱すれば、藁にもすがりたい学生から高額なカネを取って「工作」に協力する業者が現れるという見立てもある。「就活支援『サクラ友達』業者がそのうち出てくる」「外国人と写真を撮らせる商売でも始めるかな」そんな揶揄も見られるが、あながち冗談では済まされないのかもしれない。
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