2024年 4月 25日 (木)

45歳独身サラリーマンS氏は「生命保険の全解約」をしても大丈夫なのか

   年明けに45歳の誕生日を控えているS氏は、中堅商社の営業で働く独身サラリーマン。仕事は手堅く人当たりもよいので、上司や同僚、取引先からの信頼は厚い。それでも会社の業績落ち込みが影響し、冬のボーナスは2年連続でゼロになってしまった。

   大学時代の友人の中には、大手電機メーカーに入ったものの、早期希望退職に応じざるをえなくなった人もいた。入社当時には考えもしなかった将来だ。

   ここ数年は浮いた話もないが、「いまさら寂しくもない」ので結婚への意欲はあまりない。しかし、この先ずっと独身を続けるとしても、給与があがらない中で家計を切り詰めなければ将来への蓄えを確保することは難しそうと感じている。

保険料を支払わずに継続できる「裏ワザ」がある!?

普段から「かかりつけ」のファイナンシャルプランナーや保険代理店とのつながりを作っておくべき
普段から「かかりつけ」のファイナンシャルプランナーや保険代理店とのつながりを作っておくべき

   S氏が最初に考えたのは、「生命保険を全部解約してしまう」ことだ。妻や子どもがいなければ、自分が死んでも財産を残す必要がない。ただ、バブル末期に入ったままの保険は毎月数万円ずつ支払ってきただけに、簡単にやめるのはもったいない気がする。

   それに、冷静に考えてみると体力の衰えは目に見えており、もしかすると健康面の不安が出てくるのはこれからが本番かもしれない。もしも病気になった場合、蓄えが一気に底をついてしまう。老親はまだ元気だが、費用面で頼ることができない。

   そうすると減らすだけでなく、新規で医療保険などに入って足りないところを補う必要もあるのだろうか――。考えるべき要素が複雑すぎて、頭が痛くなる。

   とにかく総額は抑えたいが、将来に最低限の不安がないようにしたい人は、どうすればいいのか。何か裏ワザのようなものはないのだろうか。保険見直しに詳しいオリックス生命のダイレクト事業部担当部長・山本秀一氏にポイントを聞いてみた。

「裏ワザですか?(笑)保険を解約しなくても、保険料の支払いを中止しながら、加入中の保険を継続する方法がありますよ。当初の契約よりも『保障』が小さくなるか、『保険期間』が短くなりますが、月々の負担はゼロになります」

   S氏が仮に今後も独身を続ける場合、保険料の支払いを止めて、死亡保障の額を減らす「払済(はらいずみ)保険」に変えたり、保障額を変えずに保険期間を短くする「延長定期保険」に変えることが考えられる。なお、これらの変更には解約返戻金が必要になるので、いわゆる掛け捨て保険には適用できない。

ネット・通販生保への切り替えで保険料が下げられるかも

   山本氏によると、S氏が加入した90年代初頭の保険商品には、予定利率(契約者に約束する運用利回り)が今と比べて非常に高いものがあるという。払済保険などへの切り替えにも有利だが、継続を含めて慎重に確認すべきだ。

   しかし、自分だけでは何をどう考えればいいのか分からない人は、どうすればいいのか。山本氏は、普段から「かかりつけ」のファイナンシャルプランナー(FP)や保険代理店とのつながりを作っておくべきだという。

   FPのいいところは、家計全般を診断して最適な保険商品を提案してくれること。客観的なアドバイスが期待できるが、基本的に有料な場合が多い。なお、今ならオリックス生命が費用を負担するFP無料相談キャンペーンを2013年3月末まで開催しているそうだ。

   相談相手が保険代理店の場合、「会社が売りたい商品ばかり推されるのでは」と心配になるが、最近では複数の保険会社の商品を組み合わせた情報提供を無料で行ってくれるところもあるので参考にできる。

   加えて近年では、新しい収益モデルを開拓するネット・通販生保の商品の中に、保険料を抑えながら充実した保障内容の商品が登場している。S氏が加入した頃は訪問販売が主流だったので、契約を切り替えることで同じ保障を確保しながら保険料が下げられるかもしれない。

   保険は将来のリスクに備えておくもの。健康状態や年齢による制約で見直しができなくなってしまう前に、「私、このままで大丈夫なんでしょうか?」と腹を割って相談できる人をちゃんと確保しておきたいものだ。

週刊 ダイヤモンド 2012年 4/21号 「騙されない保険」
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  • 発売元: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/04/16
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