「辞めてもらいたいと思っとる」 これで辞めても自己都合なの?

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   Q&AサイトのOKWaveに、こんな相談が載っていた。質問者のchuruchuruさんは、中小企業で働く社員。社長との「しょうもない口ゲンカ」の末に、退職を決意したという。

「お前みたいに○○できないヤツは、辞めてもらいたいと思っとるんだ」
「分かりました。では辞めます」

   そこで知りたいのは、もしこういう流れで会社を辞めるときには、「自己都合」による退職になるのか、それとも「会社都合」になるのか。「一般的には、どちらとして判定されるのでしょうか?」

「会社都合になるわけがない」は本当なのか

「辞めてもらいたいと思っとる」は「退職勧奨」や「解雇」にならないの?
「辞めてもらいたいと思っとる」は「退職勧奨」や「解雇」にならないの?

   この相談には「会社都合になるわけがない」と突き放した回答が相次いでいる。回答者のyosifuji20さんは、「思っとる」という社長の発言に着目している。

「思っているだけでは、会社都合の解雇にはなりません。貴方がその挑発に乗ってしまっただけで、自分の意思で辞めるといったのですから自己都合ですね」

   adobe_sanさんも、会社都合にして欲しいなら、社長から明確な解雇の意思を引き出す必要があったと言い切る。

「『明日から出社するな!』『いつまででクビ』と会社側の解雇を言わせないとダメ!」

   ndkob2011さんも、「(従業員が)会社とケンカして辞めるのに、会社側が会社都合にするなんて聞いたことがない」と呆れているが、その一方で、自分から辞意を伝えたとしても「会社都合」になる場合があると付け加えている。

「退職勧奨やいじめ、嫌がらせ(ハラスメント)による退職は、労働者が自らの意思で労働契約の解除を申し出たとしても『会社都合』といえます」

   それが正しいとすると、社長の「辞めてもらいたいと思っとる」は、一種の「退職勧奨」となるのではないか。ハッキリとは書いていないが、質問者はこの点が気になっている可能性もある。これは専門家に確認した方がいいのではないだろうか…。

専門家は「不当解雇のリスク」を指摘

   回答者から同情すら寄せられなかった質問者のケースだが、専門家から見るとどうなのか。労使紛争に詳しい社会保険労務士の野崎大輔氏は、社長の発言は「クロに近いグレー」と指摘する。

「これは『自己都合』にはならないでしょうね。『退職勧奨』どころか、実質的な『解雇通告』と受け取られるおそれもあります」

   社長が「辞めてもらいたいと思っとる」というのは、質問者さんに対して「辞めてもらいたい」という意思表示をしていることになる。これは、解雇と同じ意味だというのだ。

「少なくとも、私が顧問先の経営者に『このような言い方は厳に慎んでください』とお話ししている内容に当たります。暴言、脅迫によるパワハラと受け取られる可能性もありますし、不当解雇と訴えられるリスクもあります」

   ただし、「○○できないヤツ」の内容が「あいさつ」や「足し算」などのあまりにも基本的事項であった場合には、事情が異なる場合もあるという。

   個別具体的なケースを確認する必要があるとはいえ、かなり危ない「社長の放言」と言えそうだ。Q&Aサイトの回答は、さまざまな知恵を授けてくれることも多いが、重要なことは専門家の意見もあわせて聞いておくべきだろう。

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