2024年 4月 23日 (火)

民主党が復活するための処方箋

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   民主党が「党改革創生案」なるものを準備中らしい。

   恐らく、「マニフェストが全然ダメでした」とか「党内で派閥争いばっかりやってました」といった反省点と、ではこれからどうしていくかというビジョンの、二本立てになるはずだ。反省は好きにやってくれればいいが、後者のビジョンについては思うところもあるので整理しておこう。

「自分たちが昔やろうとしていたこと」を思い出せ

   話を4年前の衆院選に戻そう。あの時、なぜ自民党は大敗し、民主党が躍進したのか。理由は簡単で、麻生政権がバラマキと既得権重視という従来の自民党路線への回帰を鮮明にしたためだ。

   では、なぜその民主党が昨年末の衆院選で大敗したのか。民主党が一向に改革を前進させず、むしろ規制強化で既得権重視の姿勢を見せたからだ。

   多くの人は覚えていないと思うが、実は民主党というのは、元々は構造改革を掲げ、郵政民営化を持論とする政党だった。彼らが小泉政権の支持層から一定の支持を集めたのはそういう背景がある。

   ただ、その後の3年間で、彼らは改革姿勢を十分に示すことが出来ず、くわえて維新、みんなの党という強力なライバルが台頭してきた。これが、民主党がいま死にかかっている理由である。

   もっとも、民主に復活の芽がないかと言えば、そうでもない。有名な話だが、自民党の09年選挙時の比例得票率と12年選挙時のそれは、実はほとんど変わっていない。つまり、自民が民主を叩き潰したというより、民主が足を踏み外して勝手に転げ落ちていったというべきで、実は自民党も4年前と比べて高みに登っているわけではない。(比例得票率は自民党が26.73%(09年)→27.62%(12年)、民主党が42.41%(09年)→16.0%(12年)。)

   今からでも遅くはないから、自分たちが昔やろうとしていたこと、これからやるべきことを整理すれば(時間はかかるだろうが)、筆者は民主党の復活は十分あり得る話だと考えている。

「労組と一定の距離を持つ」勇気が必要だ

   というわけで、これだけは創生案に盛り込むべきというポイントを提言したい。


1.労組との決別

   なにも労働組合を叩き潰せというのではない。この連載で毎度も述べてきたように、大企業労組べったりの姿勢では、成長戦略から少子化対策まで、何一つ抜本的な対策が打てないということだ。かつて前原さんが述べたように「労組と一定の距離を持つ」勇気が必要だろう。逆に言うと、労組べったりでもボロ負けすると分かった以上、しがみつく意味はない。

2.財政再建、社会保障制度改革

   たまに「野田さんが増税路線を推し進めたのが衆院選の敗因だ」と言う人がいるが、むしろ筆者は野田総理をポスト小泉の宰相の中でもっとも高く評価している。また「痛みを伴う改革は景気が良くなってから」という美辞麗句の下、勝手に天引きだけ増やされてきた正社員労組も、この路線には賛成してくれるはずだ。

3.構造改革路線の推進

   多くの人は、経済が上向かず、どんどん若い人が減り、国の借金だけが増え続けることに、漠然とした不安を抱いている。この状態はもう長くは続かないんじゃないか、自分たちの老後はどうなってしまうのか、といった不安だ。

   それに対し、バラマキや規制強化といった対策が対症療法にすぎず、長期的にはむしろ状態を悪化させるということも、多くの人は理解できている。だからこそ常に有権者は、規制緩和をベースとする構造改革を掲げる政党を支持し続けてきたのだ。その姿勢はこれからいよいよ強まるだろう。


   筆者は典型的無党派層なので、その都度、改革色の鮮明な政党を支持するだけだ。よって民主党が連合やオールド左翼と心中したいというなら喜んで尻を蹴っ飛ばしてやりたい。

   ただ、みんなも維新もまだ小所帯だし、自民は自民であんまりわかってなさそうだしという点を考慮すると、ここで民主党にはもうひと踏ん張りしてほしいというのが正直な気持ちである。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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