住まいの一部をオープンスペースに 人とつながる「家を開く」という発想

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   寒い冬ももうそこまで。やがて訪れるひな祭りは、春の訪れを感じさせる風物詩の一つだろう。全国でもさまざまなイベントが予定されているが、中でも茨城県桜川市で開催される「真壁のひなまつり」では、地元の民家約160軒が自宅の一部を開放してひな人形を飾り、観光客と共に会話などを楽しむという。

   こうした、人と人との出会いを大切にし、「自宅をオープン化」する動きは、一般の家庭にも広まってきたようだ。カフェや私設図書館などを自宅に併設し、新たなコミュニティの場として活用するケースが、住宅街の中でも時々見受けられる。そこでは今、何が起きているのだろう。

約1000万円の費用をかけて「ギャラリー・カフェ」に

マンションの一部をギャラリー・カフェに改装した東京都練馬区「River Cafe」
マンションの一部をギャラリー・カフェに改装した東京都練馬区「River Cafe」

   総務省の統計によれば、国内の空き家戸数は、2008年の段階で約750万戸。同1963年時の調査では約52万戸であったことから、この半世紀の間に15倍以上も「家が余っている」という計算になる。そればかりか、1世帯あたりの住居人数もここ50年で半減。「空き家」だけでなく「空き部屋」も増加傾向にあるようだ。

   そこで最近注目を浴びてきたのが、「家を開く」という発想だ。空いている部屋や居住スペースの一部を一般の利用者が使えるオープンスペースとして開放し、余ったスペースを有効活用しようというものだ。

   例えば、父親が所有するマンションの一部を、約1000万円の費用をかけてギャラリー・カフェに改装したのは、東京都練馬区にある「River Cafe」。定年退職をきっかけに、「仕事上だけではなく地域のつながりがほしい」という夫と、「趣味を同じにした人が集まる場を作りたい」という妻が、セカンドライフを満喫している。

   一方、東京都墨田区にある「こすみ図書」は、「本が好きなので図書館を創りたい」という熱意がオーナーに認められ、賃貸住宅で自宅兼図書館を実現した。仲間が改装の作業を楽しみながらワークシェアをして進めたため、約15万円という廉価な改装費で済んだ点にも注目したい。

目的は「地域とのつながり」「新たな仲間づくり」

   こうした動きについてリクルート住まいカンパニーでは、前者のような本格派は60代の団塊世代に、後者のような手軽派は20代後半から30代前半のポスト団塊ジュニア世代に多いと分析する。

   対象となる家や資金、進め方などにそれぞれ違いがあるものの、「地域とのつながり」「新たな仲間づくり」という目的は共通しているという。同社では、こうした傾向を「家を開く」と名付け、今後のトレンドになるのではないかと予想している。

   FacebookなどのSNSをはじめ、バーチャルなコミュニティは今までにもあった。しかし「家を開く」という考え方は、人と直接つながれるリアルな「絆」が求められていることを、改めて示しているのかもしれない。

   

   

   

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