2020年 9月 19日 (土)

「余人をもって代えがたい人材」に要注意 会社を食い物にすることも

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   特定顧客と太いパイプを持ち、バリバリと営業成績を上げている。若干強引な仕事ぶりが目立つものの、実績があるので周囲は口を挟むことができず、その人の担当先は「○○さん案件」となって聖域化していく――。あなたの会社に、こんな社員はいないだろうか?

   このような社員は、会社にとって余人をもって代えがたい貴重な「人財」である一方で、陰ではやりたい放題に会社を食い物にする「人罪」になってしまうリスクをはらんでいることに注意が必要だ。

横領発覚後も「功績を考慮して」と悪びれず

営業で頭角を現し、本部長まで昇進を重ねたが…
営業で頭角を現し、本部長まで昇進を重ねたが…

   余人をもって代えがたい人材は、悪い意味でも企業のアキレス腱になりうる。その典型例といえる不正の調査報告書が公表された。被害に遭ったのは、ネットワーク関連の総合サービスを提供する上場企業。主犯格は同社の本部長クラスであったAである。

   Aは、B銀行のシステム部門を経て2000年に入社。前職をはじめとする金融機関のシステム関連の営業で頭角を現し、部長、本部長と昇進を重ねた。

   しかしその裏では、醜い不正が行われていた。Aは、旧知の仲であったB銀行システム部門の後輩Cや、B銀行へのシステムベンダーの社員Dと共謀。B銀行から受注したシステム案件の一部を、Dが実質的に支配するE社に外注したように偽装して、会社からE社に支払わせた外注費を億単位で詐取し、山分けしていた。

   Aは、転勤してB銀行の営業ラインから外れたあとも引き続き関連案件を仕切り、内部監査や国税調査にもすべてAが対応していた。発覚を恐れる横領犯に典型的な行動である。いわゆる「Aさん案件」として周囲も口を出せなかったのかもしれないが、これを許した会社の責任も厳しく問われている。

   調査委員会に対してAは「処分にあたっては、これまでの会社に対する私の功績を考慮してほしい。私は多額の受注、売上、利益で会社を十分儲けさせてきた」と悪びれる様子もなく語ったようだ。

   億単位のカネをだまし取りながら、ここまで正当化するとは呆れたものだ。偏見かもしれないが、Aは再犯の恐れが高いのではないか。いずれ逮捕され氏名が報道されたら、同業他社はそれをしっかりと記録し、自衛すべきだろう。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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