47歳独身男性「慰謝料を取られるのが怖くて結婚できない」

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   少子高齢化が大きな社会問題となり、「子どもを産み育てやすい社会」に向けてさまざまな対策が取られている。しかし当事者たちは何かと理由をつけて、出産どころか結婚もしない人たちが少なくない。

   都内IT商社の総務部門に勤めるAさんは、現在47歳独身。これまで仕事一筋、貯金や証券類で5000万円ほどの資産がある。先日、合コンで知り合った20代女性に猛アタックされて交際中だが、一抹の不安をぬぐいきれない。

結婚前の貯蓄は「夫婦の共有財産」にはならない?

「妻から離婚を切り出された場合は慰謝料は払わない」という契約書を作成できないか
「妻から離婚を切り出された場合は慰謝料は払わない」という契約書を作成できないか

   それは、女性が自分の財産目当てで接近してきたのではないかということ。もし結婚して子どもでもできれば、たった数年生活しただけで離婚を切り出され、慰謝料や養育費をしぼり取られるのではないか。

   そうなってはかなわないので、結婚前に「妻から離婚を切り出された場合は、慰謝料は払わない」という契約書を作成することはできないか――。Aさんは最近、そんな防衛策ばかりが頭に浮かんでしまうという。

   果たしてそんな契約書を作成することができるのだろうか。弁護士法人アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士(東京弁護士会所属)に話を聞いてみたところ、Aさんが抱く不安には杞憂といえる部分もあるという。

「法律では、夫婦の一方が結婚前から有していた財産については、固有の財産として扱われるので夫婦の共有財産とはなりません。財産分与として妻に半分持っていかれるということもありません」

   結婚前の5000万円はAさん自身のものとして、離婚しても取られる心配はないらしい。また、将来生じうるすべての慰謝料の請求権を放棄させる契約は結べないが、Aさんに落ち度がなければ離婚の慰謝料を支払う必要がないそうだ。

「慰謝料というのは『離婚の際には必ず男性が女性に対して支払うお金』というイメージが強いですが、それは間違いです。『夫婦関係を破綻させる原因』を作った夫婦の一方が、もう片方に対して支払うべきものなのであり、Aさんが不倫や暴力などといった離婚の原因を作らない限りは、妻から離婚を切り出されても、慰謝料を支払う義務は生じません」

「養育費」だけは離婚しても逃れることはできない

   妻が離婚の原因を作った場合には、妻から夫に慰謝料を支払うべきことにもなり、妻が仕掛けた離婚を理由に蓄えを奪われることはない。しかし、子どもの養育費だけは、どうしても支払わなければならないようだ。

「妻とあなたの間に子どもが生まれ、その後に離婚となった場合には、事前にどんな約束を交わしていようが、当然に支払わなければなりません。妻と『子どもの養育費はいりません(放棄する)』という約束を交わしても無効なのです」

   養育費は、子どもにとって不可欠なもの。親が勝手に放棄することはできず、離婚後も親である以上は当然支払うべきものとされている。

   とはいえ、養育費は結婚生活が継続していても掛かる費用なので、もし離婚して親権が妻に渡っても、この程度は仕方がないと受け入れられるのではないか。

   ということで、結論は「Aさんが考えている契約書を作成することは可能だが、実際にはほとんど意味がない」ということになる。もちろん、念には念を入れたような契約書を作れなくはないが、篠田弁護士はもっと大事なことがあるのではないかという。

「Aさんは自立されていて、ご自分のペースが確立されているようです。何かあった時に備えたいというお気持ちも分かりますが、より重要なのは、契約書など交わさなくても信頼できる方を結婚相手として見極めること。そういうお相手が見つかったら、勇気を出してプロポーズしてみるのがよいのではないでしょうか」
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