2024年 4月 25日 (木)

人事から見た「職務発明制度」見直し 特許は法人に帰属させてよい

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権利を発明者から切り離し「メリハリのきいた処遇」で対応

   以上2点をまとめるなら、現状の日本企業では「相当の対価」の基準が曖昧で、しかもそれに報いる手段もないということだ。個人の利益を保護し、インセンティブを維持するためには、むしろ早急な改革が必要だろう。

   では、どうすれば、企業と従業員双方の納得できる対価を決め、それを支給することが可能だろうか。それには“市場”を活用するしかないというのが筆者の意見だ。

   特許は法人に帰属するけれども、代わりに採用時の契約段階でメリハリのきいた処遇を提供し、それに納得した人間が契約を結んで入社する。たとえば、一流の研究者をスカウトする場合。

「我が社で研究して頂ければ、年俸2000万円+出来高ボーナスあり、ストックオプション制度も利用可能です」

といった条件を出し、それに納得した人だけが入社するという具合だ。納得できない人は他の会社の門を叩けばいい。

   それが恐らく、双方の納得する対価を決め、かつ、実際に個人に支払う唯一の方法だろう。そのために権利を発明者から切り離すのは、筆者はとても重要な改革の第一歩だと考えている。結果としてそれは、企業にはより合理的な報酬制度の構築を促し、個人にはより高い成果へのインセンティブをもたらすはずだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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