2019年 9月 21日 (土)

だから「ブラック企業名公表」なんて最初から無理ですから

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   先日、取材に来たある記者と、筆者はこんなやり取りをした。

「ブラック企業について教えてください。実際にはどんな会社なんでしょうか?」
「じゃあとりあえず、どこでもいいから駅前の雑居ビルに入ってるような小さな会社に行ってみるといいですよ。従業員20人くらいの。間違いなくブラックだから」
「いや、そういうのじゃなくて、ちゃんとした大きな会社で、ブラックなところを取材したいんですけど」

そもそも、なんで有名企業じゃないとダメなのか?

「なんで『ちゃんとした大きな会社』じゃないとダメなの? 中小の方がもっとひどいところいっぱいあるけど、わざわざ『マシな方』をクローズアップする意味ってあるの?」
「いや、中小企業がろくに労基法守れないなんて、みんなわかってるじゃないですか」

   そこで、「大手企業のアラを探すより、もっとひどい中小企業の実態にクローズアップした方が生産的だと思うけど。ていうか、中小企業は法律守らなくてもいいって誰が決めたの?」というと、何かわけのわからない言い訳を始めたうえ、折り返しにすると言ったっきり連絡が来なくなってしまった。

   そういえば先日、筆者の予想通り、与党が「ブラック企業の社名公表」をマニフェストに盛り込むのを見送ったそうだ。たぶん、政府内でも同じようなやり取りがあったと思われる(以下、筆者の想像)。

議員「ブラック企業をリストアップしたまえ! 労基法をぜんぜん守る気ないような会社だよ」
役人「文字通り法律違反している会社なら、誰も知らないような中小企業ばかりになってしまいますが、よろしいでしょうか?」
議員「いや、そういう中小じゃなくて、過労死するほど残業させたり、残業代全部は払ってないような有名企業はないの? いろいろネットで話題になってるじゃない」
役人「過労死するほど残業させるのは36協定結べば違法じゃないですし、サービス残業なんて大なり小なりどこでもある話ですので、特定の企業だけピックアップするのは難しいと思いますが」
議員「じ、じゃあ、サービス残業に対する規制を強化して、その36協定とやらを禁止するのは?」
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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