「既卒無業者」への就職支援広がる 「ホンキの就職」に参加者4000人

印刷

   都内の大学に通う男性(22)は、4年生の9月に差し掛かっても就職活動をする気が起きない。「この時期になると、さすがに少し焦ります。でも、やりたいことも見つからないし…」と思い悩みつつ、最初の一歩がなかなか出ない。

   文部科学省の学校基本調査によると、2013年3月の時点で大学を卒業した人のうち「進学も就職もしていない者」は約7万5000人(13.6%)にのぼる。大卒無業者を対象とした調査では、就活期に応募エントリーをした会社の数が「0社」という回答が40.4%もあった。就活をせずに卒業し、そのまま「大卒無業者」になる人が一定数いるということだ。

大卒無業者の4割が「就活エントリー0社」

リクルートが開催した既卒者支援プログラム「ホンキの就職」の様子
リクルートが開催した既卒者支援プログラム「ホンキの就職」の様子

   就活期にエントリーをしなかった理由は、「病気・けがのため」や「自信がなかったため」「資格試験のため」などさまざま。卒業後に無業者となる大学生のかなりの割合が、そもそも「就活をしていない」という状況が浮き彫りになっている。

   こうした状況に着目し、「既卒者向け」の就職支援も広がっている。リクルートホールディングスが2011年4月から無料で行っている「ホンキの就職」は、おもに既卒者やニート状態の若者を対象としている。提供しているのは、1日かけて就活のエッセンスを学ぶ「1Day Seminar」と、4日間で就活の基本から行動力までを身につける「4Days Group Work」という2つのプログラムだ。

「就活の最初の一歩が踏み出せないことと、就活でなかなか成果があがらない理由は本質的には同じ。どちらも就活に対する偏った知識と、就活への自信不足が原因の一つとしてあります」

   「ホンキの就職」を担当する守冨裕氏は、このように語る。

   就活への自信不足の原因のひとつが「面接スキルの不足」。「1Day Seminar」では面接スキルの向上に特化し、グループワークでは「就活がうまくいかない理由」を学ぶ。「面接練習」では、普段は知りえない採用者や第三者の視点を踏まえて実践を繰り返すことで、スキルと自信をつける。

   「4Days Group Work」では面接練習に加え、自己分析や適性診断をしっかりと行う。複数人がグループになって、お互いの強みや適性を議論したうえで、志望動機と自己PRを確実に行う練習を繰り返す。守冨氏は、「面接練習」も「自己分析」も就活に自信を持つ最初の一歩として非常に効果的な方法だと説明する。

「ホンキの就職では同じ就活の悩みを抱えている仲間が集まるので、励まし合い助け合い、改善点を指摘しあうという空気感が生まれます。みんなで内定を取ろうという意識が生まれ、モチベーションの向上にもつながります」

「同じ悩みを抱える者」の客観的な意見に納得

   2012年度はリクルートのほか、21のNPO団体や40の大学にもプログラムを提供し、4000人以上が参加している。リクルートで実施しているプログラム参加者のうちの約7割が既卒者で、その約半数が3か月以内の就活で内定を勝ち取っている。1週間に満たないプログラムとして成果は上々と言えそうだ。

   参加者からは「自分の考えを言ってもいいんだと自信がついた」「落ちてばかりで就職活動が本当に辛かったが、皆の意見をもらえて自分に足りないことが分かったし元気が出た」といった声が聞かれる。

   成功者からの「上から目線」のアドバイスは苦痛だが、同じ悩みを抱える者同士であれば客観的な意見に納得し、自分の行動を改善できる。そうして手応えをつかめれば「自信がつく」「希望がわく」というのもうなずける。

   総務省によると15~34歳で労働、家事、通学のいずれもしていない「若年無業者」は約60万人いる。現状から何とか抜け出したいのにうまく行かず悩んでいる人は、こうした無料サービスの利用から解決のきっかけをつかめるかもしれない。

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中