2024年 4月 27日 (土)

「連合」のジレンマ なぜ彼らは政府の「賃上げ要請」に怒っているのか

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政治と有権者の抱えるリスク

   では、賃金を上げさせるにはどうすればいいか。答えは実にシンプルで、将来不況になった際に、賃下げや解雇のしやすいルールを作ってあげればいい。

   実は、「日本のサラリーマンにはかなり賃上げされる余地がある」というのが筆者の意見だ。ただ、将来的な不確定要素のために必要以上に賃金抑制されているにすぎない。

   将来の不安が少なくなれば、安心して賃上げする企業が現れるだろう。処遇見直しがルール化されるだけで目に見える効果が生まれるはずだ。

   ついでに言えば「65歳雇用の義務化」も廃止すればいい。多くの企業は今、65歳まで雇用する人件費をねん出するため、20~30代の昇給を一生懸命削っている最中だ。これも立派な賃金抑制要因である。もちろん、他にも少子高齢化対策や各種の規制緩和など、将来の景気を良くするために政治が打つべき手は多い。

   だが、それらすべての政策には根強い反発が予想される。そうしたグループの反発の結果、「選挙で負けるかもしれない」というのが政治の抱えるリスクである。

   そして、我々有権者自身にもリスクはある。経済活性化のために解雇ルールを作れば、将来自分が解雇されるかもしれない。60歳定年に戻してしまうと、年金支給開始年齢までの5年間は自分で職を探さないといけない。現在規制で守られている人たちは、パイが小さくなってしまうかもしれない。これが、有権者が甘受せねばならないリスクである。

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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