大学3年生で「就活指導」なんかしても無駄じゃないかと思う理由

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   名前が知られている日本の上場企業というのは、就労人数のわずか15%しかありません。あのワタミや王将の現場の従業員も入れた数ですから、本当に学生がホワイトと感じて入りたいと思う就職口は、10%もないのかもしれません。

   そこに入ろうとしたら、なかなか大変です。その仕事は上位大学の学生で、学生時代にビジネスをやっていたとか、そういうレベルの人がかっさらっていきます。とりわけ何の実績もないノースキルの文系学生に、内定が出るはずもありません。

「10%しか勝てないレース」に参加する自覚が足りない

『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』
『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』

   就活においては、そういう「参加者の10%しか勝てないようなレース」に、あたかも全員が勝ち残れると信じて参戦します。そしてまわりも、勝ち残ることを前提にした面接の方法や自己PR、自己分析といったテクニックを指南します。

   しかしどれだけ煽ったところで、3年生の終わりには挽回不可能で、あらかた勝負がついているんです。もうその頃には、どうしようもない差がついているのに、あたかもそれが努力次第で挽回できる幻想を抱かせて、就活生を鼓舞します。

   結局、ノースキルの文系学生は、100個も会社にエントリーして全滅。精神的に追い込まれてしまう人もいます。無理ゲーを無理ゲーと知らず、きっとクリアできると信じて人生をかけて取り組んだ結果、クリアできずに倒れてしまったのです。

   日本の就職活動が学生に多大なストレスをかけているのは、実はこういう無理ゲーであることを誰も知らしてくれない、または学生も薄々そうだと分かっていながら、現実を見たくないので、自分だけは10%に入れると思っているところにあるのではないでしょうか。

   さらに昭和脳のオッサンが、「仕事がないのは努力しない奴がわるい。努力しろ」という批判を繰り返します。そもそも努力しないでも椅子に座っていられるオッサンのお陰で、若者の採用が減っているのですから、まったくもって冗談のような話です。

このまま突っ込んで勝ち目があるか、冷静に見つめよう

   先日、『英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?』という本を出しました。あまりに刺激的なタイトルなので、文系学生を馬鹿にしているのか、とお叱りをくらうかもしれないと思いきや、読んでいただいた方には、文系学生に寄り添う内容でよかったという感想をいただきました。

   わたしは就職活動の前に、いったん自分の立ち位置を冷静に見つめることも大事だと思います。このまま就職活動に突っ込んで勝ち目があるのか。もし勝ち目がないなら、別の方法を取るべきでしょう。

   留年して、何かその間に実績を作った方がいいかもしれない。英語が使えず実務経験も何もないならば、そのまま就活に突っ込んで撃沈するよりも、いまからでも余裕のある学生時代にスキルを身につけるのも手です。

   たとえば、フルタイムの英語留学を半年くらいすれば、ノンネイティブと意思疎通するくらいの英語力は身につけられる人が多い。フィリピン留学の出現で、費用も月に10万円程度で実現できます。さらにその後、海外で英語を使った実務のインターンを半年できれば、「英語が使えて、英語の実務を半年したことがある」という実績もついてきます。

   それがいまの日本の就職活動で直接評価されるかどうかはわかりませんが、自分の自信になりますし、日本で評価されないなら、外国の企業に就職してみるといった選択肢もありだな、と思えるようになっているはずです。(大石哲之)

大石哲之(おおいし・てつゆき)
作家、コンサルタント。1975年東京生まれ、慶応大学卒業後、アクセンチュアを経てネットベンチャーの創業後、現職。株式会社ティンバーラインパートナーズ代表取締役、日本デジタルマネー協会理事、ほか複数の事業に関わる。作家として「コンサル一年目に学ぶこと」「ノマド化する時代」など、著書多数。ビジネス基礎分野のほか、グローバル化と個人の関係や、デジタルマネーと社会改革などの分野で論説を書いている。ベトナム在住。ブログ「大石哲之のノマド研究所」。ツイッター @tyk97
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