2024年 4月 24日 (水)

食品偽装をうんだ「ウラの規範」 「何としても粗利率上げろ」が企業理念を蝕む

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「本音と建前という裏表の組織文化」一掃を

   現場の上司が、HospitalityやHonestyよりも「何としても粗利率を上げる」ことを重視し、そのとおりにする者が高い評価を受けるのであれば、部下たちは徐々にその「基準」に従って行動するようになる。あるいは、本当に4Hを重視する者たちは、幻滅して会社を去るか、見過ごせずに内部通報をし、それが無視されれば外部に告発するであろう。

   「メニュー表示偽装」を起してしまったホテル・旅館のトップは、現場にどのような非公式の規範が浸透しているのかを見極め、企業理念に反する悪習を本気で絶つ覚悟が必要だ。倫理綱領を作り替えたり、倫理研修を実施したりするだけではダメで、組織風土の根っこに自ら手を突っ込んで変えなければならない。

   阪急阪神ホテルズの新社長には「コンプライアンスと収益を天秤に掛けることは絶対に許さない」「どんなに儲けようが、4Hに反する行動をとる者は当社には必要ない」と宣言し、その決意を自らの言動はもちろん、経営方針、人材の採用、人事評価などに確実に反映させてもらいたい。公式と非公式、本音と建前という裏表の組織文化を一掃する。難しいが、不祥事の根絶にはそれしかない。(甘粕潔)

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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