「メディアへのアプローチ」はこうして行う 情報発信を粘り強く続ける効用とは

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   中堅・中小企業は株式上場をしている大企業と違い、マスメディアに注目される機会が非常に少ない。数多くのメディアに取り上げられることは至難の業といってよく、比較的ハードルが低い業界紙などに取り上げられるだけで終わっているケースがとても多い。ただ、何らかのきっかけで、マスメディアに取り上げられるようになることもある。その分かれ目は、自らの企業のもつ社会性、話題性を信じ、マスメディアにアプローチし続けるかどうかにあると言っても過言ではない。

   とくに、上場も可能なような中堅企業の場合、記者クラブにニュースリリースを配布するのは有効な方法だ。記者クラブは多くの企業(上場企業を含む)にとって、敷居が高い印象があるが、有力な業界団体に加盟していれば、ニュースリリースを配布できる。もちろん、それを記事にしてくれるとは限らない。記者クラブには膨大なニュースリリースが配布されるので、記事にならない確率のほうが高い。しかし、有力メディアに情報を流し続けていると、どこかで目に留まる。

「金芽米」で注目、テレビ出演も

   そんな成功例の会社の1つが、東洋ライス株式会社(銀座本社=東京都中央区、雜賀慶二社長)だ。同社は2012年11月、株式会社タニタ(東京都板橋区、谷田千里社長)と共同で、「タニタ食堂の金芽米」を発売、金芽米がカロリー摂取量の抑制と同時に食味と栄養価のアップにつながることを印象付けた。2013年4月、香川大学医学部の研究グループと自然免疫制御技術研究組合(香川県高松市)は東洋ライスの助言を得て、コメの糠層とでんぷん層の間にある亜糊粉層に、人間の体内に侵入する異物から体を守る自然免疫を活性化させる成分が多く含まれていることを農政クラブと東商記者クラブで発表。この研究成果は、共同通信が配信し、河北新報(5月4日付)など主要地方紙が掲載した。

   2013年10月にはフジサンケイビジネスアイが1面企画「成長ニッポン」で東洋ライスを取り上げ、その数日後にTBSが毎週日曜夕方6時30分放送の「夢の扉+」で雜賀社長を取り上げるに至り、多くの国民に知られるようになった。

   東洋ライスがなぜ、いまブレークしたのか。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の関税交渉をめぐり、日本の農業が守りから攻めに一大転換を遂げなければ立ち行かなくなるため、付加価値を持つコメがクローズアップされていることが背景にあるのは間違いないだろう。また、飽食の時代、高齢化に伴う成人病の増加を前に、「自然免疫活性化」のキーワードに関心が寄せられたことも大きい。しかし、直接のきっかけは、同社が記者クラブを通じて、マスメディアにアプローチしたことだった。

   記者クラブに限らなくてもいい。情報を的確に発信し続けることの重要性を中堅・中小企業のオーナー経営者にはとくに知っておいてほしい。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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