「管理者を部下が評価」で浮き足立つ上司ら あまりの「右往左往」に社長が下した決断とは…
2013.12.25 11:43
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社長「うちの管理者たちがこんなにも点取虫で…」
社長からの追加調査オーダーは、「全20項目の5段階評価に対して、すべて5とかすべて3とかの一律評価をつけた者を抜き出して欲しい」というものでした。その調査結果は、全体で200人ほどいるスタッフのうち、全職場に及ぶ50人以上ものスタッフが上司に対して均一の安易な評価をしていたのです。
「彼らが真剣に評価をしたなら、オール5とかオール3とかの安易な評価結果になるわけがない。さっきから話を聞いていると君たちは自分の調査結果ばかりを気にしているが、肝心の調査の趣旨や評価に際しての心構えを部下にまともに伝えきれていないということ。すなわち、結果を云々する以前の問題として、指導者としての君たちの基本姿勢にまず問題がある。したがって今回の調査は無効!全員、管理者の心構えからやり直し!」
社長の話では、「360°調査」の実施を決めた途端の管理者の浮き足立ち方が尋常じゃなく、これでは当初の目的はおろかまともな調査にならないと直感して追加オーダーを思いついたそうです。
「うちの管理者たちがこんなにも点取虫で、自分の評価ばかりに気をとられていたのかと、ちょっとガッカリでした。これは私の管理者評価にも問題があるのかもしれないと、反省しきりです。今後見直しをしていきます」
と、当初の調査目的と異なりはするものの、調査実施の成果はかなりあった様子でした。
組織というものは、どっぷり浸かってしまうと浸かった者はその流れがごく自然に考えられて、おかしなことも流れに乗ってしまい気づかないことが間々あります。調査はその流れに石を投げて波紋を起こすことで、調査結果とは別に副次的におかしなものを浮かびかがらせる役割を果たすことがあるのです。特に異動や入れ替えが少ない組織内では、時々こんな調査をされてみることをおすすめします。(大関暁夫)