「クラスへの『参加度』を評価」ってどういうこと? 日本とは「正反対」の教育システムから得られるものとは

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   今回は、日本とアメリカの授業の違いを見てみます。ある授業の評価体系は「中間レポート:25点、最終レポート:50点、クラスへの参加度:25点」とあります。「クラスへの参加度」って何だ?出席とは違うの?最初、私は戸惑いました。

   出席だけでなく、いかにクラスに積極的に貢献したかが問われる。これが日米の大きな違いです。日本での大学時代、座学で講義を聴き、期末試験やレポートで四苦八苦するのが当たり前だった私には衝撃的でした。

日本人にはハードル高し!アメリカの「クラス共創型」授業

日本とアメリカ、180度異なる教育システムから得られるものとは?
日本とアメリカ、180度異なる教育システムから得られるものとは?

   MBAでは、企業に関するケースを各自で読み、チームでミーティングしたうえでクラスに臨むというのが典型的です。「授業で初めて学ぶ」のではなく「授業の前におおよそ理解していて、授業では理解を深め多様な視点を学ぶ」のです。

   クラスでは教授が質問をぶつけてきます。「今回のケースを簡単にまとめてくれ」「あの時何がいけなかったのか」「君ならどうする?」「それを補強するデータは何?」などなど……。

   これに対し、「自分の意見を言う」「他人の意見に対して別の視点を述べる」「予習や授業の不明点について質問する」というのがクラスへの貢献です。教授がよく「Good question!」と言って褒めるのですが、いい答えと同様に、いい質問を提示することはクラスの理解度を深めるのに貢献したことになります。このように教授・学生が「みんなで授業を創り上げていく」のがアメリカ式です。

   しかし、言うは易し、行うは難し。日本人にとってクラスへの貢献はハードルが高い。例えばある経営戦略の授業。チームでのミーティングでは意見を言えても、クラスでは同級生の勢いに圧倒され何もできませんでした。

   最後はサムスンに関するケースで、教授はクラスの韓国人を指名しようとしましたが、クラスの韓国人3人は全員、就職活動で欠席。私のところにお鉢が回ってきてしまいました。

   そこで、12回目の授業にして初めて意見を述べました。台湾・中国の企業に追随されている半導体事業でどのようにカウンター戦略を取るべきかというトピックで、英語は下手ながらも懸命に戦略オプションを提示すると、「Great answer!」と教授。私の発言をきっかけに議論は白熱し、授業後にはクラスメイトから「Great job, Ken!」と褒められ、その時から「考えている内容はクラスメイトと同等以上なのだから、恥ずかしさを捨ててクラスに飛び込んでみよう!」という気持ちになりました。

正反対の教育システム、どっちがいいの?

   私の日米での経験を比較して、教育システムの違いを、日本は「テスト競争型」、アメリカは「クラス共創型」と分類してみましたが、どちらも一長一短あります。

   では、日本の教育システムにアメリカのいいところを導入するとしたら?

   「数字」に関する科目はテスト至上主義の日本が勝っているので変える必要がありません。会計・財務といった前提知識がなくても、数字に強いというだけでアメリカ人よりエクセルも宿題もテストもできます。

   一方、経営戦略や組織論といった「正解のない授業」で顕著なように、自分のアイデアを述べ、他人と意見を戦わせ、それらを組み合わせてチームとしてよりよい結論にたどり着くという、これからのグローバルビジネスをサバイバルするための必須スキルを磨く機会が豊富にあるのがアメリカの教育の優れたところ、見習うべきところではないかと感じます。

   受験へのTOEFL導入、英語での授業展開、留学生の増加など日本の大学教育も変革を試みているようですが、形式にとどまらず授業の「質」に関する議論が深まっていくことを期待しています。(室健)

室 健(むろ・たけし)
1978年生まれ。東京大学工学部建築学科卒、同大学院修了。2003年博報堂入社。プランナーとして自動車、電機、ヘルスケア業界のPR、マーケティング、ブランディングの戦略立案を行う。現在は「日本企業のグローバル・マーケティングの変革」「日本のクリエイティビティの世界展開」をテーマに米ミシガン大学MBAプログラムに社費留学中(2014年5月卒業予定)。主な実績としてカンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバルPR部門シルバー、日本広告業協会懸賞論文入選など。
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