老舗酒蔵の現場から「言い争い」が消えた 蔵元が仕込んだ「人事の秘訣」とは

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   元禄年間に端を発する酒蔵「山口酒造場」(福岡県久留米市)の歴史。天保13(1842)年に有馬藩より酒造業の許可を得て以来、丹精込めて造り続けている「庭のうぐいす」は人気のブランドとして定着。先祖代々、地域経済の発展に尽力しながら、世界が注目する古き良き日本のこころを今に伝える造り酒屋のDNAとは。

   そんな「100年超企業」の当主・蔵元に「老舗企業の『なるほど! 人事』」を聞いた。

良い意味で『何も起きない会社』なんです

   2003年に11代蔵元に就任し、今年で節目となる10年目を迎えた山口哲生氏である。

「就任直後から気になっていましたが、出荷担当者と受注担当者がしょっちゅう言い争いをしていたんです。理由は単純で、双方で自分の立場を主張しているからぶつかるんですね。そこで私は、出荷と受注の担当者の総入れ替えを実行しました。そしたらまるで嘘のように言い争いがなくなったんです。これは効果があると思いました。
   製造部門と営業部門を定期的に交替させるのもやっぱり理由があって、現在、長く杜氏を務めている人も、実は営業の責任者を10年経験しています。ものづくり企業では製造担当者と営業担当者の間でぶつかることも珍しくないかもしれませんが、当社ではそういったトラブルは全くありません。お互いの仕事内容を熟知しているから、良い意味で『何も起きない会社』なんです(笑)」

   同社には定年がなく、やる気と気力があればいつまでも働ける職場環境もある。「しかし…」と蔵元は話を続ける。

「規模が小さい割にはやっていることが難しく、複雑で、専門知識も必要ということで、どうしてもベテランの人に知識が固まってしまい、それが企業リスクになってしまう懸念が付きまといます。そこで当社では、『重鎮』といわれる人が本当に動かなくなっちゃう前に、なるべく動かすようにしているのです(笑)。だから平均年齢は高くても、みんな若々しい。普通に10ぐらい若く見える人が、生き生きと働く職場であることを実感しています」

関本茂(月刊「人事マネジメント」編集部・記者)

上場・中堅企業の人事・総務部門に多くのコア読者を持つ月刊ビジネス誌。専門性の高い著者・ベテラン記者らによる鋭利なコンテンツラインナップが評判。1991年創刊以来、これまでの取材先企業は1,000社を超える。本連載では月刊『人事マネジメント』掲載記事をJ-CAST会社ウォッチ企画として抄録し公開している。
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