社長がコネ採用を受け過ぎて、使えない社員が増えてます

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   1月か。まだウチの子供の就職が決まらない。取引先のA社長に頼んでみるか――

   コネ・縁故採用をめぐっては、岩波書店が過去、2013年4月入社の社員募集要項に「社員や著者の紹介状が必要だ」と明記し、賛否両論が巻きおこったこともある。「賛成」意見もあるわけだが、縁故採用組があまり増えすぎると、何かと軋轢が生まれるようだ。

7割くらいは言うこともろくに聞かないわがままな人

   製造業の人事です。

   弊社は創業50年を迎え、この辺りではそれなりに名が通っている会社になりました。

   高卒も多く採用しており、学校の先生にも親にも「子供を入れたい会社」として浸透しているようです。

   社長は地元の名士になっているので、いろいろな付き合いがあります。

   また気前の良いことでも有名で、頼まれると断りません。

   人事として頭が痛いのはコネ採用です。取引先の社長から

「うちの愚息を面倒見てもらえないか?社長の会社で根性を叩き直して欲しいんだよ。自分のとこだと社員も遠慮してなかなか厳しくできないんだよな」

と言われることが多いようです。

   確かに弊社は、基本を徹底的に教えて身につけさせるので、社員の対応や礼儀が良いことで有名です。しかし、コネ採用で入ってくる社員の7割くらいは言うこともろくに聞かないわがままな人ばかりです。

   現場からも「もうコネ採用は勘弁して下さい。彼らは、ここを辞めても親の会社があるから別にいいや、という感じでやる気がないんです。他の社員に悪影響を及ぼしているので困ります」

   と言われています。コネ採用は止めたいのですが、どうしたらいいでしょうか?

社会保険労務士 野崎大輔の視点
筆記試験から面接まで受けてもらった上で断る

   このような縁故採用で、良い話を聞くことはあまりありません。採用は現場主導で、経営者の意向は反映できないというスタンスを確立しましょう。多くの場合、どこにも就職できず、自社でも雇う気にならないので親が知り合いに頼んでなんとかする、というケースが多いようです。社長同士の付き合いという面が大きいと思いますが、縁故採用をすることによって職場や社員に悪影響しているのであれば、経営的側面からも辞めた方が良いと思います。

   しかし、無下に「縁故採用はやっていません」と断ることは難しいので、通常の採用試験のように筆記試験から面接まで受けてもらえば良いのではないでしょうか。「採用試験の結果、自社での採用は難しい」と、いろいろ手は尽くしたと誠意を見せて断れば良いと思います。

   御社は社員への教育をしっかりやられているようなので、面接の際「入社後にどのようなことをやるか」といったことまで伝え、暗に「縁故で入社しても甘くはない」ということを伝えることも必要だと思います。どこかで「適当に働けば良い」と思っている人は、自分から辞退することもありえます。

臨床心理士 尾崎 健一の視点
入社経緯にかかわらず仕事の成果で評価を

   縁故採用であっても仕事の成果を出している人もいれば、通常採用で成果が低い人もいます。基本は、入社経緯にかかわらず仕事の成果で評価することでしょう。

   会社の利益にプラスになるという理由から、縁故のある候補者を採用時に有利に計らうということはあるかもしれません。しかし、入社後には公平に評価し、周囲からの不満が出にくくしましょう。

   今回の事例では、「社長の会社で根性を叩き直して欲しいんだよ」と言われているわけですから、採用してほしいというより成長を促して欲しいという意味合いが強いようです。会社の育成方針通りに、「良いことは良い」「ダメなものはダメ」と基本を徹底的に教えることで、社会人としての正しいあり方を身につけてもらいましょう。

   「採用時の配慮で会社が受けるメリット」と「入社後の人材育成は公平に行う」ことを同僚たちに理解してもらう努力が、会社としても必要になります。会社の方針がブレなければ、同僚たちも納得するはずです。

あなたの会社にコネ採用社員、いますか?
たくさんいる
少しはいる
いない
分からない
その他
尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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