2024年 4月 25日 (木)

「写経研修」拒否する社員に社長がブチ切れ 「参加できないなら辞めてしまえ」

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

社会保険労務士 野崎大輔の視点
止める必要はないが、参加は任意に

   止める必要はありません。教育方針を決めるのは会社の自由ですので、どのような研修をやるかは裁量権があります。社員個々の業務遂行に必要な知識や技能の習得に必要な研修等は、業務命令として参加を強制することに問題の余地はないと考えられます。

   しかし使用者の裁量権は無制約ではなく、業務との関連性が薄く合理的な意義に欠けるもの、自己の信仰する宗教と異なる宗教行事への参加等を義務付けることはできません。今回の研修は社員の成長と同じ価値観を持って働くことを目的として実施しているかと思います。意図は共感できますが、客観的に見たら業務との関連性は薄く、思想統制と思われてもおかしくはありません。本人の意思に反してでも強制的に受講させたら、「憲法の信教の自由の侵害だ」と言って争いになる可能性は高いです。実施するのはかまいませんが、研修としてやるなら参加は任意にした方が良いと思います。

   どうしても参加を義務付けたいというのであれば、業務との関連性や必要性について合理的な説明ができるようにしておく必要があります。入社の面接の際に「ウチの会社はいろいろな研修がありますが、人間性を高めるためにこういうこともやっています」と宗教的な思想統制と誤解を生じないように説明しておくのも良いかもしれません。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中