「メード・イン・ジャパン」を支える視覚センサー 開発したのは中小企業

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   日本のモノづくりを支える中小製造業が事業所数、従業者数ともに減り続けている。機械金属型製造業のメッカである東京都大田区を例にとると、1983年に約9100事業所で9万2000人が働いていたが、2005年には約4700事業所、3万7000人とほぼ半減している(工業統計)。日本全体でみると、製造業はかつて4割産業と言われていたが、いまでは2割産業となっている。

   しかし、だからといって製造業のニュースバリューが下がったかというと、そうとは言えない。資源に乏しい日本にとって、モノづくりはなくてはならない産業であり、大田区を中心とする下町ボブスレープロジェクト、東京東部の中小企業を中心とする深海探査艇「江戸っ子1号」プロジェクトなどをメディアはしばしば取り上げている。要は、技術力や話題性があれば、メディアが掲載する可能性は依然として高いと言える。

2メートル先の0.05ミリ点を、1.4メートル視野幅から瞬時に発見

   今回ご紹介するのは、2006年に東京発明展において文部科学大臣発明奨励賞を受賞したほか、中堅・中小企業新機械開発賞の中小企業庁長官賞、東京都ベンチャー技術大賞優秀賞など数々の技術賞を受賞しているテクノス(東京都港区)。同社は、人間の視覚機能を電子回路化し、人間が24cmまで近づいてやっと見える50マイクロメートル(0.05mm)角の点を、2m離れて1.4mの視野幅の中から瞬時に見つけるニューロ視覚センサーを開発・販売している。人間の目の100倍以上の精度で色ムラを検知するほか、微細欠陥を4000画素ラインセンサーのCCD(固体撮像素子)カメラに比べ1000倍、フルハイビジョンカメラに比べ4000倍の精度で検出する。超高速ラインや飛行物体への適用も可能なことから、ガラス・アクリル、液晶・有機EL表示装置、撮像素子・マイクロレンズ、ロールフィルム、自動車などあらゆる産業の欠陥製品撲滅向けに使われる。

   0.05mm点の検知は毎分30mの速さで移動するラインでも可能。これが0.5mm点であれば、視野幅が14mに広がり、毎分300mの高速ラインでも検知できる。また、被写体深度(ピントの深さ)が0.05mm点の検知時にプラスマイナス20cmと、CCDカメラに比べ6600倍であるのも大きな特徴で、立体形状物や対象物がたわんだ状態でも目視以上の自動検査が行える。

   同社の自動外観検査システムは世界14か国で特許を取得している。自動車、鉄鋼、フィルム、半導体、液晶など32業界のトップメーカーが採用しており、製造業トップ50社の70%以上、東京証券取引所1部上場企業240社以上への納入実績を誇る。メード・イン・ジャパンの品質向上、不良品撲滅に大きく貢献している。

   世界最先端の技術のため、メディアには一般紙から産業紙、技術雑誌に至るまで五月雨的に掲載されている。2012年10月に日経産業新聞、日刊工業新聞が掲載、その後は技術誌の「産業と環境」、「メカトロニクス」、「実装技術」などが取り上げている。同社の山田吉郎社長は小型化、持ち運び、堅牢、暗視などをキーワードとして、一層のイノベーション(技術革新)を図る考え。日本のモノづくりの火を消さないためには、中堅・中小企業の活性化が欠かせない。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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