メディア側に好感もたせる「広報業務」の方法 「無責任体制」は禁物です

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   広報は、一般社会と良好な関係を構築し、維持していくための活動であり、パブリック・リレーションズ(Public Relations)活動と呼ばれる。日本パブリックリレーションズ協会が発行している「PR手帳」を見ると、多くの企業・個人がPR活動にかかわっている。

   一方、PR企業と契約しているにもかかわらず、一般企業の広報力強化に結びついていないケースも散見される。なぜなのだろうか──。

問題となるのは、各メディアキャラバンの中身

   企業側がPR企業に支払う報酬はさまざまだが、非上場の中堅・中小企業だと年間500万~700万円が多いようだ。PR企業を使っている東京都江東区の企業では「弊社の出来事をリリースなどの書類にして、各メディアキャラバンを経て、その記事に関して記者を連れてきて取材をしてもらうというパターンでやっている」と話す。

   ここで問題となるのは、各メディアキャラバンの中身。私の経験では、圧倒的多数のPR企業が各メディアの編集局経済部あるいは産業部のFAXにニュースリリースを送信している。さらに、リリースの問い合わせ窓口にPR企業自らがなり、記者からの問い合わせがあれば、記者と同行して契約企業を訪問するケースが多い。そのようにして、記者と名刺交換し、記者とのネットワークを築いていくわけである。

   ところが、これはメディア側の評判が芳しくない。まずは、勝手にFAXにどんどん送信してくる点。PR企業は1社ではないから、ほぼ毎日のように各PR企業からニュースリリースが送られてくる。「いい加減にしてほしい」との声も聞かれる。次に、ニュースリリースは発信する当該企業が責任を持って対応しなければならないのに、社員でもないPR企業が問い合わせ先となることの矛盾。記者からみれば、PR企業が契約企業に精通していたとしても、当該企業ではないので、そのコメントは裏付けにならないし、コメントとしても採用できない。つまり、ニュースリリースを出す当該企業の無責任体制が問われることにもなる。このような下地があるので、PR企業が記者に対し、当該企業をご案内するといっても「ご一緒してもらわなくて結構」ということになるか、ご一緒しても「なぜ、PR企業が同席するのか」という雰囲気になってしまうこともある。

ノウハウを企業が蓄積できるように

   PR企業からみれば、メディアの担当記者は2年程度のサイクルで担当替えになるし、メディア編集局のどの部署が当該ニュースを扱うことになるか分からないので、FAXは極めて便利なアイテムである。また、結果を出さないと翌年の契約継続につながらないので、なりふり構っていられない事情もある。また、広報の部署がない中堅・中小企業では、問い合わせ対応までPR企業に一任しているケースもある。つまり、中堅・中小企業が広報業務を「丸投げ」する代わりに、報酬を支払っているわけで、PR企業にとってはやむを得ない事情といえる。

   さて、このような実態を踏まえ、私ども広報ブレーンでは、FAX送信ではない形でメディアに説明し、問い合わせ先は当該企業のしかるべき立場の人間が担当するよう促している。社会と向き合い、社会に情報を伝達する広報は、企業の大小を問わず、重要な活動であり、ニュース発掘、ニュースリリース作成、メディアへのアプローチのノウハウを企業が蓄積できるようにしていきたいと考えるからである。そのためにも、PR企業への広報業務の「丸投げ」は避け、メディアとの良好な関係を築いてほしいと願っている。(管野吉信)

管野 吉信(かんの・よしのぶ)
1959年生まれ。日刊工業新聞社に記者、編集局デスク・部長として25年間勤務。経済産業省の中小企業政策審議会臨時委員などを務める。東証マザーズ上場のジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)の広報室長を経て、2012年に「中堅・中小企業の隠れたニュースを世に出す」を理念に、株式会社広報ブレーンを設立。
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