2020年 9月 26日 (土)

出向先で「単純かつ大胆な」横領 親会社は「腹立たしい」で済ませている場合か

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   前回のコラムに続き、世間をにぎわせている億単位の横領のニュースを取り上げる。

   舞台は、民放キー局の関連会社でブライダルサービスを手掛けるA社。横領したとして解雇されたのは同テレビ局からの出向者Bで、2008年のA社立ち上げ以来社長を務めていた。

抜き打ちチェックも活用し、頻繁に確認していれば

子会社トップが自ら現金や預金を動かせるというのは…
子会社トップが自ら現金や預金を動かせるというのは…

   一連の報道によれば、Bは経営トップでありながら、資金決済や預金口座管理などの処理を自ら行っていたようだ。そのような立場を悪用し、2011年から3年間にわたって、会社の口座から自分名義の口座に不正送金を繰り返し、投資に充てていたという。期末には必ず残高を元に戻して発覚を免れていたが、投資に失敗したのか、ついに資金が工面できなくなり、A社の監査役に不正を告白して不正が発覚。経営者を監視すべき監査役にとっては、寝耳に水であり、痛恨の極みであろう。

   着服総額は約1億円に上る見込みで、テレビ局はBを懲戒解雇とし、A社はBの刑事告訴を検討している。

   かつてBと一緒にプロデューサーの仕事をしたという同テレビ局の社長は、マスコミに対して「誠に申し訳ない。非常によく知っている人間だけに遺憾であり、腹立たしい、残念でなりません」と語るとともに、「(Bが)経理のすべてを担当していたのが問題だった」と反省の弁を述べている。

   腹立たしくなる気持ちはよくわかるが、上場企業の子会社等における不祥事が相次ぎ、グループ全体の内部統制が厳しく問われている中で、出向者がここまで好き勝手できてしまう状況を数年間にわたり放置した経営責任は重い。

   中小企業のオーナー社長ならまだしも、子会社トップが自ら現金や預金を動かせるというのは、内部統制を弱体化してしまうということも、当然想定すべきであった。監査役や親会社の内部監査部門が、抜き打ちチェックも活用して預金残高や振り込み明細を頻繁にチェックしていれば、Bがやったような単純かつ大胆な不正はたちどころに発覚していたはずである。

甘粕潔(あまかす・きよし)
1965年生まれ。公認不正検査士(CFE)。地方銀行、リスク管理支援会社勤務を経て現職。企業倫理・不祥事防止に関する研修講師、コンプライアンス態勢強化支援等に従事。企業の社外監査役、コンプライアンス委員、大学院講師等も歴任。『よくわかる金融機関の不祥事件対策』(共著)、『企業不正対策ハンドブック-防止と発見』(共訳)ほか。
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