「ブラックじゃないと叫びたい」ワタミの思いは通じるか 「365日24時間死ぬまで働け」撤回のその後

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   居酒屋チェーン事業などを手掛けるワタミは、社員向けの冊子「理念集」に書かれていた「365日24時間死ぬまで働け」という表現を撤回した。この文言は、ネット上などで同社を「ブラック企業」イメージで語る際、たびたび引用されていた。

   今回の変更について、同社はわざわざウェブサイト上に文書を掲載して周知に努めており、それを読むと、あくまで「理念」であって「従業員に求める内容ではありません」と強調している。これで、従来のイメージを変える道は開けるだろうか。

「働くとは生きることそのものである」へ変更

「働く」ことと「生きる」こと
「働く」ことと「生きる」こと

   ワタミによると、理念集ではもともと、「365日24時間死ぬまで働け」と書かれた次のページには、「私(創業者で現参院議員の渡辺美樹氏)も本気で『365日24時間』働いて欲しいなどと考えていません」との説明が入っていたという。だが表現自体が強烈だけに、そこだけがひとり歩きして本意が伝わらないまま誤解を招いたこともあったと主張する。

   しかし、外部有識者による業務改革検討委員会により「企業の代表者(当時)の発言としてはより慎重な言い方が適当」と指摘され、内容の再検討を促された。また2008年に従業員が自殺しており、遺族の心情を察すると「慎重な表現」が望ましいとして、該当部分を「働くとは生きることそのものである」に変更した。

   この変更はニュースでも取り上げられ、ツイッターなどでも話題となった。いくつかの言葉の組み合わせを変えながら検索し、「つぶやき」を見る範囲では、世間の受け止め方は厳しいようだ。「撤回したところで評判は変わらない」と突き放す意見や「何も変わってないと、みんなにわかるいい言葉だね」との皮肉、なかには「死んでも働けってことか」との書き込みまである。今回の変更を好意的にとらえる向きは、今回検索した範囲では見当たらなかった。一部には、「24時間~」に関するワタミへの批判対し、「そこまで批判されるべきことなのか」といった趣旨の同情的な内容は見受けられた。

   ワタミは、2014年5月8日に発表した14年3月期の決算で、1998年の上場以来初の赤字となった。桑原豊社長は、日本経済新聞朝刊(2014年5月18日付)で、同社のイメージ悪化が業績に及ぼす影響は限定的とするが、記者は「労働環境を改善しようという改革が中途半端に終われば、ダメージは広がりかねない」と指摘した。

同じ条件でも、「和民」だと応募は「40分の1」

   日経新聞の記事ではワタミの人材採用にも触れており、興味深い記述があった。桑原社長によると、居酒屋の店数の9割が「和民」「わたみん家」が占めている。現状で料理の専門性を高めた店舗は1割程度だが、和民からの切り替えを含めて4割に引き上げるという。これが「人材確保にも利点がある」というのだ。

   名古屋で、同社がレストラン&バーのアルバイト70人を募集したところ、200人が応募してきた。ところが「同じ条件で和民が募集しても残念ながら3~5人」というのだ。理由は書かれていないが、文脈からすると「わたみ」という語句が店についていると、アルバイトが敬遠しがちになるとも読み取れる。「わたみ」についたイメージは簡単に払しょくできないと、経営陣も思っているのかもしれない。

   ただし、記者から「『ブラック企業』とも呼ばれていますが」と問われると、「大声で『ブラックじゃない』と叫びたい」と強調し、「ひとつひとつ手を打ち、実態で示す」と話した。創業者の渡辺氏もことあるごとに「ブラック企業」と呼ばれることに反論してきた。「理念集」の次の一手が注目される。

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